くろあか | ナノ

 十話 声帯砲




「ただいまですー」
「おお、おかえり」
「はいマスターさん!」
「ありがとな」

頼まれていたものがはいった袋を無事にマスターさんに渡して任務完了!わたしもごはん食べなきゃ、と思っていたところマスターさんに誘われたのでご一緒させてもらった。


「ん?お前戸籍ねーのか?」
「そうなんですよー」
「はあ…そりゃ、また」
「えっと、記憶喪失…みたいので…気づいたらヒソカさんに助けられてました」

ちがう世界からやってきたので!なんて言えるわけもない…!とりあえず適当に考えた設定を使う。

「お前も苦労してんだな」
「んーでも、そこそこ楽しいですよ?」
「……ヒソカに育てられて変になってんのかね」
「変とかひどいです!」

ヒソカさんが変というのは否定しませんけど!サンドイッチをもふもふと頬ばる。チーズがとろけて、んーおいしい!

「あ、あと念能力なんですけど…」
「ん?ああ特質系だったな」
「はい。でもなんかどの系統も使えるみたいなんです」
「へーそりゃすげーじゃねえか」
「でも、どんな風に使おうか悩んでて…」

水見式での結果は特質系だった。あのあと何回かやってみていろんな系統にチャレンジしてみたところ強化、変化、放出、操作、具現化の系統それぞれ50〜80%ぐらいには使える…?という、どうにも曖昧なものだった。

「そうだなあ…ゆあだったら強化とかか?」
「強化系…ですか」
「まあ単純に体を強化して戦ったり、武器を強化したり…バカのゆあでも使えそうじゃねえか?」
「…バカじゃないです!」

マスターさんが悪い悪いと笑って頭を撫でてくる。
…ここでもこの扱いか!!嬉しくなんか…嬉しいけど!!

いいように撫でられながら強化系について考える。そうだなあ…技、必殺技?あ、漫画のキャラクターとかの!

そう考えてひとつ思いついた。

「あ!声、とか…強化できますかね?」
「声?できるっちゃあできるだろうが…どうするんだ?」
「あのですね!わたしの好きな漫画のキャラクターに、競泳で鍛えた常人離れの肺活量を活かして、こう…音で攻撃する?みたいな!そんな技があるんですよー!」
「あーなるほどな」
「わたし水泳習ってましたし、肺活量はそこそこあると思います」
「まあ、それを強化したら…攻撃にも使えるかもなあ」
「ほんとですか!」


大好きなキャラクターと同じ技を使えるかもしれない!そう考えるとわくわくしてきた。午後は強化系の修行しよう!食べかけだったサンドイッチを一気に口につめて牛乳で押し流した。


「マスターさんありがとうございます!」
「おう。がんばれよ」
「はい!いってきます!」

食器を自動食器洗機にとりあえず入れてマスターさんにお辞儀して再び外へと走り出した。



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