くろあか | ナノ

 八話 朝




この世界にきてからの不安
人殺し、知らない世界
いろんな不安がごちゃごちゃに混ざって
砕けて溶けてドロドロになる。




新しいホテルに移ってから初めての朝。

「(…んー朝。走りに行かなきゃ)」
「ゆあ◆おはよう◆」
「………おは、よ…、?!」

思わず言葉に詰まって固まってしまう。目の前にヒソカさんのドアップ。デジャブ!なんか何度目かわかんないけど!

驚いて起き上がろうとしたところを
ヒソカさんに腰を引かれて戻された。


「な、にするんですか?!」
「ん?ゆあ抱き枕にちょうどいいんだよね◆」
「人を抱き枕にしないでくださいっ!」

そんなことされてたのにグーグー寝てたわたしどんだけバカなのっあほなの!!さっきまで爆睡してた自分を殴りたい…!

「走りに行ってきますから離してくださいっ」
「やだ」
「…ヒソカさんキャラ変わってませんか?」
「気のせい気のせい◆」

無理やりヒソカさんを引き剥がしてベッドから抜け出した。まったく…なんでベッドが二つあるのにわざわざこっちに来るのかな?嫌がらせ?いたずら…気まぐれ…うーん。少しついた寝癖を直しながら動きやすい服に着替えて外にでた。

「…早いな」
「あ!マスターさんおはようございます!」

一階に降りたところでカウンターで新聞を読んでいたマスターさんに声をかけられた。


「…どこか行くのか?」
「えっと、毎朝走るのが日課で…」
「そうか。森は迷いやすいから街へ向かう道を走るんだな」
「ありがとうございます!いってきまーす」

お辞儀してホテルをあとにした。外にでて振り返ってみると最初にみた廃墟が嘘のように綺麗なホテルに変わっていた。

「うわあ…ほんとにすごい」

念でこんなことができてしまうんだ。改めてこの世界が自分のいた世界とはちがうんだ、ということを再確認してしまった。


「よしっ、今日はいつもよりペースあげよ!」

もやもやした気分を晴らすために走り出す。
森の中だからか空気が澄んでいて気持ちいい。






「うーただいまですー」
「遅かったね◆」
「調子に乗って遠くまでいっちゃいました…」
「シャワー浴びたらごはん食べておいで◆」
「はーい」


ヒソカさんは相変わらず
トランプタワーを作っていた。

タオルを掴んでバスルームへ向かう。




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