くろあか | ナノ

 七話 マスターの念




ホテルの中は外からわかるように
ボロボロで、階段もところどころ崩れてて
落ちるんじゃないかとかなり心配だ。



三階の一番奥の部屋に入る。

中もやっぱりというか
当たり前のように荒れていた。



「…ここで寝るんですか?」

「うん?ああ、ゆあにまだ説明してなかったね◆」

「?」


―チャリ


部屋の鍵らしきものをだすヒソカさん。
鍵も錆だらけで汚かった。



「じゃあ修行の成果をみせてね◆凝、使えるね?」

「はい…使えますけど…」

「じゃあこの鍵を凝でみてごらん◆」



半ば疑いながら目にオーラを集中させる。
すると鍵にオーラがこめられていることに気づいた。


「ヒソカさん…これ」

「そう◆マスターの能力だよ」



鍵を渡されて受け取る。

すると、いきなり視界がぐわん。と揺れた。



「?」



瞬きをした一瞬のうちにありえないことがおきた。



「…え、あれ?ここどこ?!」

「さっきと同じ部屋だよ◆」

「全然…ちがいますよ?!」



鍵に触れて、瞬きをした一瞬のうちに
荒れ放題だった部屋がきれいになっていたのだ。

窓も割れてない。ベッドもふかふか。
ソファーも綺麗だし、カーテンも破れてない。

ガラスの破片が飛び散っていた床は
幾学模様の絨毯が敷き詰められていて
隅から隅までお手入れが行き届いていた。



「どういう…能力なんですか?」

「マスターの能力は簡単に言うと隠蔽と幻覚…かな?」


詳しくはボクも知らない。
というヒソカさんだったが簡単に説明してくれた。



一つ、ふつうの人はこの建物の存在に気づかない。

建物全体が絶で覆われているらしく
常人ではそこに建物があることに気づけないらしい。

一つ、見破られたとしても廃墟にみえる。

幻覚のようなもので廃墟にみえるらしい。
この辺はヒソカさんもよくわかってないらしい。

一つ、鍵を渡された人だけが本当のビルにみえる。

鍵に二つの念を解除する念がかけられており
マスターに渡された人だけが本来のビルを認識できる。



と、いうことらしい。



「念ってなんでもできるんですね…」

「万能ってわけじゃないけどね◆」


わたしから見れば十分万能だった。



「ま、だから安全は保証されるよ◆」

「…そうですね」

「森もあるから修行もできるし◆ボクが修行をつけてあげる◆」

「…よろしくお願いします」



ヒソカさんと一緒にいるということは
それだけ命の危険にさらされている。
ということを今少しだけ感じた。


真面目に修行しなくちゃ。

わたしは力をつけないとダメなんだ。

守られているだけじゃダメなんだ。



「(お母さん…)」





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