ホテルの中は外からわかるように
ボロボロで、階段もところどころ崩れてて
落ちるんじゃないかとかなり心配だ。
三階の一番奥の部屋に入る。
中もやっぱりというか
当たり前のように荒れていた。
「…ここで寝るんですか?」
「うん?ああ、ゆあにまだ説明してなかったね◆」
「?」
―チャリ
部屋の鍵らしきものをだすヒソカさん。
鍵も錆だらけで汚かった。
「じゃあ修行の成果をみせてね◆凝、使えるね?」
「はい…使えますけど…」
「じゃあこの鍵を凝でみてごらん◆」
半ば疑いながら目にオーラを集中させる。
すると鍵にオーラがこめられていることに気づいた。
「ヒソカさん…これ」
「そう◆マスターの能力だよ」
鍵を渡されて受け取る。
すると、いきなり視界がぐわん。と揺れた。
「?」
瞬きをした一瞬のうちにありえないことがおきた。
「…え、あれ?ここどこ?!」
「さっきと同じ部屋だよ◆」
「全然…ちがいますよ?!」
鍵に触れて、瞬きをした一瞬のうちに
荒れ放題だった部屋がきれいになっていたのだ。
窓も割れてない。ベッドもふかふか。
ソファーも綺麗だし、カーテンも破れてない。
ガラスの破片が飛び散っていた床は
幾学模様の絨毯が敷き詰められていて
隅から隅までお手入れが行き届いていた。
「どういう…能力なんですか?」
「マスターの能力は簡単に言うと隠蔽と幻覚…かな?」
詳しくはボクも知らない。
というヒソカさんだったが簡単に説明してくれた。
一つ、ふつうの人はこの建物の存在に気づかない。
建物全体が絶で覆われているらしく
常人ではそこに建物があることに気づけないらしい。
一つ、見破られたとしても廃墟にみえる。
幻覚のようなもので廃墟にみえるらしい。
この辺はヒソカさんもよくわかってないらしい。
一つ、鍵を渡された人だけが本当のビルにみえる。
鍵に二つの念を解除する念がかけられており
マスターに渡された人だけが本来のビルを認識できる。
と、いうことらしい。
「念ってなんでもできるんですね…」
「万能ってわけじゃないけどね◆」
わたしから見れば十分万能だった。
「ま、だから安全は保証されるよ◆」
「…そうですね」
「森もあるから修行もできるし◆ボクが修行をつけてあげる◆」
「…よろしくお願いします」
ヒソカさんと一緒にいるということは
それだけ命の危険にさらされている。
ということを今少しだけ感じた。
真面目に修行しなくちゃ。
わたしは力をつけないとダメなんだ。
守られているだけじゃダメなんだ。
「(お母さん…)」