くろあか | ナノ

 三話 泣きたい



「ゆあ、油断禁物だよ◆」

―べちっ

「うっ」

おでこをデコピンされる。ただのデコピンのはずなにすごく痛かった。涙目になりながらヒソカさんの手をみるとさっきのナイフと同じように薄っすらとオーラに覆われていた。「手加減はしたよ◆」と笑うがじんじんと痛むおでこを抑えた。

「確かにその能力は強いけどゆあが弱くちゃ意味ないんだよ?◆」
「そうですよね…はい」
「んーその能力はね、たぶんそのペンダントが影響してると思うんだ◆」
「ペンダント…」

ヒソカさんに指さされて
胸元に目線を落とした。

小さな赤い宝石が輝くペンダント。

誕生日にお母さんにもらったものだ。小さくて華奢であんまり派手じゃない赤色がすごく気に入ってて目立たないから学校にもつけていくほどいつも肌身離さずつけていた。

「そう。念の攻撃、あと武器を使った攻撃とかも弾くと思う。」
「普通のペンダントじゃないんですか…?」
「まあ、ゆあの力…というかペンダントに込められた念の力な気がするけど◆」
「そうなんですか?」
「殺意があれば寝てる時でも発動するみたいだよ◆」
「寝てるときに試したんですかっ…?!」
「うん。ナイフはじかれちゃったねー◆」

へー
ナイフをー
弾いたんですかー

寝ててもわたしすごーい

「…って!!!寝てるときに?!ナイフ?!なにしてるんですか?!」
「いや試そうと思ってさ◆」
「それ失敗してたらわたし…あの、もしかして」
「うん。怪我とかじゃすまなかったかも?◆」

ニッコリ。笑顔のヒソカさん。
………ダメだ。なに言ってもダメだ。

「だから明確な殺意がないときは発動しないんじゃないかな◆」
「………はい」
「あとゆあを殺すことはできないとしても、さっきみたいに攻撃はできる。あとは体内、毒なんかも無理じゃないかな?」
「…!こここ、これには?!」
「ああ、今日のには入ってないよ◆」

今日の、には、って…??!
いつかはいれるってことですか?!

わたしは一体どうしたら?!

と、顔を真っ青にしていたら
ヒソカさんに頭を撫でられた。

「大丈夫そんなイルミみたいなことはしないから◆」
「うう…ひどいです…いるみ、さんって誰ですか…」
「んーまあそのうち紹介するかも◆」

泣かないのー◆と言われるが
泣く理由を作ってるのはヒソカさんです…!

ていうかヒソカさんのお友達は
毒を盛るような人なんですか…!

「だからねゆあ自身も強くならなきゃダメだよ?◆」
「…はい、がんばります…」
「強くならないと殺しちゃうかもね◆」
「……ううう、はい」

もう何度も殺されかけてるわけだから
いまさらもうなんというか…うん。

とりあえず毒はやだな…。

「じゃあ今日はちょっと念の修行でもしようか◆」
「…はい。」

拒否権もないし、断ったら
殺されそうな気がするのでうなずいた。


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