「ただいまー」
「お帰り、名前」


……あれ、何でいるの?
その言葉は目の前の光景があまりにも衝撃的過ぎて私の喉元でつっかえて消えた。まるで漫画のように思わず目を見開いたまま持っていたショルダーバッグを肩からぽすりと床に落とした。

目の前で優しげに笑い玄関で私を出迎えてくれたのは彼氏の源田だった。どっからどう見ても紛れも無く源田、だ。しかし、どう血迷ったのか。現在の彼の格好はそのイケメンフェイスがあるからまだ良いものの、なんとも目に余る格好だった。
ピンク色のふりっふり、ひらっひらなエプロンをつけた自分を惜し気もなく晒し、それがさも当然と言った感じで振る舞い続ける源田。はっきり言って怖い。


「げ、げんだ…?」
「名前、飯が出来ているんだがどうする?先に風呂入るか?沸いてるぞ」


私の惚けた声は届かず、変わりに優しく笑いながら源田が言った。それも夢のような有り難いことを。ご飯が出来ている上に、お風呂も沸いてる…だと?!私は思わず目を見開きぱちぱちと源田を見ながら瞬きを繰り返す。すると源田はもう一度笑い私の頭を撫でてから床に落ちたショルダーバッグを拾うと取り敢えず上がれと促した。

私は直ぐさまこっくり頷き、急いで履いていた靴を脱ぐと、もう一度源田を見た。暫く無言で見つめ合った後、私は口を開いた。


「あ、あのさ…」
「うん?」
「その…ご飯、とかお風呂とかって…本当…?」


少し高い位置にある源田の目を見ながら言えば源田はこっくり頷いた。その瞬間、私の目には強力なフィルターがかかり、一気に源田のエプロンなんか気にしなくなった。もういいよ、寧ろ似合ってるよ。というより源田は何着ても似合うよ。と言った感じに。


「源田ーっ!!」


私は嬉しさの余り源田に飛び付いた。結構な勢いはあったが、そこはGK。しっかりと受け止めてくださいました。そのままぎゅっと抱き着き源田を見る。


「源田、ありがとう!本当に嬉しい、本当にありがたい!源田大好き!!」


感謝の意を述べ、にっこり笑い上機嫌な私はさっさとリビングへと向かおうとする。が、しかし。がしりと左手が掴まれ、一気に源田の腕の中に逆戻り。何だなんだとゆっくり顔を上げていけば当然だが源田がいて、そのまま私の唇に源田の唇が重なった。触れるだけの軽いキスに思わずどきりとしていれば、源田が口を開いた。


「俺も、名前が大好きだ」


言い逃げは卑怯だ、と笑いもう一度私の唇にキスを落とした。何だかなあ…、と頬が赤くなるのを感じながらこれではご飯どころではないと思う私は、この後お風呂を選び夕飯後冗談抜きに源田においしく頂かれたのでした。あれ、作文?


家に帰ると妻、
違った源田がいました





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