「土方死ねー」
「喧嘩売ってんのかコラ」
私は、土方さんの部屋でごろごろするのが日課だった。隊士である私は本当は見回りとかしなきゃいけないんだけど、隊長が沖田さんのせいですっかりサボり癖がついている。お菓子をたべたり、ジャンプを読んだり、お菓子を食べたり、もうやる事がなくなった頃。
畳に寝そべりながら机に向かう土方さんに声をかけたら、不機嫌そうな声が返ってきた。
「やだな、沖田隊長の真似ですよ。似てました?」
「わざわざ真似しなくても、不愉快な性格はてめぇらそっくりだから安心しろ」
「ええー、沖田隊長に似てるとかこっちが不愉快なんですけど」
「…、あ、間違えた。あーもうてめぇが横からグチグチ言うから」
「自分の失敗を人のせいにしないでくださーい」
書き損じたらしい書類をごみ箱へ投げる土方さんに寝そべったまま近寄る。畳に肘をついて彼を見上げたら、ちらりとこちらに視線が向いた。
「お前も仕事しろ」
「してます」
「どこかだ。お前食っちゃ寝してるだけじゃねぇか。豚になるぞ」
「なりません。夜土方さんと運動するから」
バキ、と土方さんが持っていた筆が折れた。
「おま、女なんだから少しは恥を、」
つつつ、と私は手を土方さんの腰にまわして膝に頭を置く。脚がとてもしなやかで、細い。
「えへへ、膝まくら」
「…チッ」
土方さんが舌打ちをしたかと思ったら、彼の手が私の顎に伸びてクイと上を向かされた。ゆっくり重なる唇。
「、…」
「何なら今から運動するか?」
「…あ、私お仕事しなきゃ」
「逃がさねー」
ニヒルに笑った土方さんから離れようとしたら、腕を引かれて畳に押し付けられた。困ったように見上げた先には、勝ち気な土方さんの怪しい笑み。
「沖田隊長たすけて」
「他の男の名前呼ぶな」
「ん、」
今度はすこしだけ乱暴に、唇が重なった。初夏の昼下がり。
ガラッ
「おい土方仕事しろぃ」
「総悟てめぇ」

20090618 / ある昼下がり
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