「はあ、いいお湯だった」
深夜。やっと仕事を終え気持ちよく湯浴みを済ませて部屋に戻ると、そこにはなぜか太公望さんの姿があった。ベッドでだらだらとお菓子を食べている(行儀わるい)
「おー、やっと戻ってきおったか」
「何してるんですか人の部屋で。ベッドにお菓子零さないでくださいよ?」
ひらひらと手を振りながら起き上がる彼に歩み寄り、むうと頬を膨らませる。するといきなり腕を掴まれ、引き込まれた。
「きゃ、」
そのまま一緒にベッドに横になり、ぎゅうと抱きしめられる。濡れた髪がシーツを濡らしてしまうのが気になったが、それより至近距離にある彼の顔にどきどきと心臓が高鳴った。
「いい匂いがするのう」
「た、太公望さんっ、もう貴方は何しに来たんですか!」
頬擦りしてくる彼に慌てて声をかけると急に真剣な顔をこちらに向けた。
「こんな夜中に恋人が逢いに来たら、答えはひとつであろう?」
普段はこんな顔なかなか見せないのに、恋人らしい事も滅多にしないのに。不意にこんな事したりするから、彼はずるいと思う。そうされてしまえば逆らえないと、太公望さんは知っているのだ。
「…ばか」
「何とでも言え」
そうして降ってくる口付けに私は大人しく目を閉じた。

「ん、ん」
夜着を剥がされ、胸に顔を埋める太公望さんを細めた目で見ていた。時折頂点を吸われて肩が震える。静かな部屋に声を響くのが恥ずかしくて声を抑えた。そこで不意に彼が顔を上げ、視線が交わる。次いで噛み付かれるような口付けをされた。
「ふ、」
口内を犯すように蠢く舌に必死に応える。触れ合う舌先に翻弄されていきながら彼の掌が私の胸を包み、指先で突起を転がされていく。時折爪で引っかかれ、口付けの合間にも熱い息を吐いた。漸く唇が離れ、しかし触れ合う距離で見詰め合うと彼は目を細めて微笑んだ。
「エロい顔をしておるのう」
「、た、太公望さんだって…いやらしい顔してます」
顔を赤くしながらも反論すれば彼はまたひとつ笑って、再度胸元へと顔を下ろした。そしてすっかり主張している突起を舌先で転がされる。余りにも恥ずかしくてぎゅうと目を閉じた。
「嫌ならば逃げてもよいのだぞ?」
なんて意地悪なことを言うのだろうか。私が逃げるなど、むしろ嫌などという訳が無いのに。むう、と膨れて彼を見た。
「…意地悪、」
視線を合わせて拗ねたような言葉を言えば彼はくすりと笑った。そして太腿をなぞっていた彼の手が上がってくると下着越しに割れ目をなぞられる。
「あっ、」
恥ずかしい場所を不意に触られて大きな声を出してしまう。二本の指で割れ目を往復されてじんわりと下着が湿っていくのが自分で分かった。面白そうに口元を歪める彼の顔が目に入る。
「濡れておるぞ、名前」
羞恥心を煽るその言葉に、私は顔を逸らすしかなかった。すると下着越しに触れていたかと思っていた手が脇から中へ侵入し、直にそこを撫でる。そして指に蜜を絡めるように往復すると最も敏感な箇所に触れて大きく身体が跳ねた。
「ああっ、」
「…いい声を出すのう」
面白そうに言う彼はついに下着まで取り去り、蜜の滑りを利用して膨らんだ芽を指で何度も擦る。じんじんと伝わる刺激にびくびくと身体を震わせた。
「ひあ、あ、あっ、」
段々と激しくなっていくそれに、確実に頂点へ追い詰められていく。次いで入り口を解すように動き、やがて指が中へと入り内壁を擦り上げた。指がそこを擦り上げるように抽出を始める。
「あああっ、たい、こうぼさっ、」
「イくか?」
何度もいい場所を指で刺激され、限界を増す身体。問いかける彼に私はこくこくと頷いた。すると追い上げるように指の速さが増して、更に親指で芽を押し潰されびくりと身体が大きく震え。
「イ、く、イっちゃ、ああ!」
そして達してしまった。それを確認した後彼の指がずるりと抜かれる。達した余韻に浸りながら肩で大きく息をし彼を見上げると、濡れた指を舐め取っていた。その姿が普段太公望さんが見せているようなものとは全く違って、恥ずかしくなった。
「太公望さん、えろいです」
「む、何を言うか。今の名前の姿の方がよっぽどえろいぞ」
その言葉に益々恥ずかしくなって体を丸めた。しかし彼の手によってそれは阻止され、脚の間に太公望さんの身体が入り込む。そしてするすると衣服を脱いでいく。現れた彼の裸体にうっとりと見惚れた。細くも、しなやかに鍛えられた身体はやはり男そのもので。普段露出の少ない衣服で隠れていた肌に、そっと手を伸ばして胸をなぞった。すると太公望さんが不思議そうに首を傾げる。
「どうした?」
「綺麗、だなって。太公望さんの身体」
素直に告げると、彼は呆れたように溜息をついた。そして熱を持った彼の下半身が、私のそこに押し付けられる。
「あ、」
「綺麗と言われて、男が喜ぶとも思わんが…。まあ想いを寄せる相手に言われるのは、なんとも嬉しいものだ」
熱い塊の先端で割れ目を撫でられ、そこがひくりと収縮する。そしてゆっくりと私の中へ侵入してきた。その圧迫感にぎゅうとシーツを掴んで耐える。押し返す壁に逆らって中に完全に埋まってしまえば、上から息を吐く気配がした。
「お主の中は何度入ってもきついのう」
「っ、太公望さんの、が、大きいんじゃないですか…」
彼は、ふ、と笑ってゆっくりと腰を揺らし始めた。与えられる刺激に熱い息が零れる。
「ん、っ」
顔を上げれば、そこには眉を寄せて私を見詰める太公望さんの姿。その姿が愛しくて、首に腕を回して抱きついた。それに応えるように彼の腕が私の腰に回り強く引き寄せられる。それと同時に腰の動きが強いものになっていった。
「ああっ、」
敏感に感じる場所を塊が突き上げれば無意識のうちに高い声が漏れてしまう。恥ずかしくて慌てて口を閉じたが、それを聞いた太公望さんがにやりと口角を上げた。
「もっと声を出せ。聞きたい」
「ふあっ、あ」
同時にいい場所ばかりを強く突き上げられて抑えていたはずの声が溢れてしまう。満足そうに彼の眼が細められた。何度も何度も抽出を繰り返して、どんどんと追い上げられていく。
「あ、あ、んあっ、太公望、さんっ」
「名前っ、う、」
「もうイきそっ、ですうっ、ああ!」
「名前、共にっ…」
私の腰を掴んだ太公望さんの手ががくがくと揺さぶり、同時に強く突き上げられた。どうしようもない快感に追い詰められて、そして私たちは同時に頂点へと昇り詰めた。

「ああ、折角お風呂に入ったのに」
あれから更に2回も求められて、汗をかいてしまった私はうんざりとベッドのシーツに埋もれた。
「っだー!疲れたのう!」
「それは私の台詞です!」
同じように隣に寝転がった太公望さんに言えば、彼は苦笑してこちらを向いた。
「すまぬ」
「もう。なんで70も超えたおじいさんがこんなに元気なんですか」
「それじゃ」
ぴ、と指を鼻先に突きつけられて、私は目を丸くした。
「昼間、天化や武王にからかわれてのう」
「からかわれた?」
「うむ、じじいなんて一回するだけでへとへとだろうと」
「…まさかそれでムキになって」
「まだまだわしも青いのう」
苦笑して頬を掻く太公望さんに、私は小さな溜息をついた。もう、そんなことに付き合わされた私を同情して欲しい。拗ねたように枕に顔を埋めると、ぽんぽんと彼が私の頭を撫でた。
「勿論、それだけではない」
「それだけで抱いたなんて言ったら本気で怒ります」
「…そう拗ねるでない」
ちらりと彼を見れば、困ったように眉を下げていた。その表情に、思わずくすりと笑ってしまう。こんな顔をさせるのが私だけだと思ったら、何だか嬉しくなってしまった。彼の方に向き直り、私の頭にあった手をそっと握る。
「キスしてくれたら、許してあげます」
「それだけでいいのか?」
「それがいいんです」
目を閉じるとゆっくり重なった彼の温かい唇に、胸も同時に温かくなっていった。

20100615 / 齢70の性欲
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