「恋って何だと思う?」
唐突にされた質問に、俺は持っていた携帯を落としそうになった。それを取り繕いながらいつもの笑みを携えて名前を向き直った。
「はは、何それ?恋とは特定の異性、まあ場合によっては同姓もあるようだけど俺は興味ないかな。その相手をどうしようも無く慕い、想う事。またはその、」
「そうだよね。臨也に質問したのが馬鹿だった」
俺の言葉を遮って名前が溜息をついた。つられて俺も肩を竦め、持っていた携帯を制服のポケットに押し込む。
「で、何なわけ?」
「恋って苦しいなあって思って」
「はあ」
「きゅんってして、色々考えちゃって、」
ほう、と息をついて語る名前の目が切なげに細められて、俺は思わず目を逸らした。
最近愛する名前の顔にも嫌いな種類があると気付いた。それが今の顔だ。完全にあの忌々しい男の事しか考えていない。元より質問に真面目に答えてやるつもりは無かった。相談なんてもの、当人はその行為をする事が目的であって三者の答えなど初めから聞いていないに等しい。
ただ、名前の言う恋が苦しいって言葉には激しく同意せざるを得ない。
「これが愛ってやつなのかな臨也」
そうだ、という言葉しか相手は望んではいないが、ここで俺は敢えてこう答えよう。まあその勇気が持てたら、の話だけど。

20101105 / 俺の方がずっと愛してる……なんてね
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