朝起きたら、目の前にはゼロスさんの笑顔。
「ひゃあああ!」
私は思わず、ゼロスさんの体を突き飛ばした。
「わあっ」
不意を突かれたのか彼は、ドタリと大きな音をたててベッドから落ちた。
「なななっ、何でゼロスさんが私のベッドに居るんですか!」
「あいたたた、何でって…昨日一緒にベッドに入ったじゃないですか」
落ちる際に打ったらしい腰を押さえながらゼロスさんは起き上がり、言った。その言葉に、私は昨夜の事を思い出しボッと顔を赤くした。確かに昨日、何故か一緒に眠った。しかし、魔族は睡眠など必要としない筈だ。だとしたら。
「まさか一晩中、」
「可愛かったですよ、名前さんの寝顔」
再びベッドに戻ってきたゼロスさんは、つんと私の鼻をつついた。私はサッと顔を青ざめ、隠れるようにシーツにくるまった。
「わー!私の馬鹿馬鹿馬鹿!」

何故昨夜、されるがままにしてしまったのか!私は馬鹿か!馬鹿だな!と、後悔しながらシーツの中でじたばたと暴れる。
「名前さんが僕の服掴んで離してくれないから、お仕事も行けなかったんですよ?」
「わーわー!」
「寝言で"ゼロスさんだいすき"っておっしゃってて、キュンとしちゃいました」
「嘘だー!」
「まぁ嘘なんですけど」
「嘘なのかよっ」
思わずがばりと起き上がり、突っ込んでしまった。すかさずゼロスさんの腕が私の腰を滑って抱き寄せる。
「ひゃっ」
「顔真っ赤ですよ?図星だったんですか?」
至近距離で囁くゼロスさんに、私は更に顔に熱を集め。ぶんぶんと首を振った。
「ちち、ちがっ、誰が!」
「もう、本当に可愛いですね」
「は、は、離してくださいー!」
「嫌です、ふにふにしてて気持ちいいんですもん」
「いーやーだー!」
「名前さん、おとなしくしないと、」
「離してー!」
「食べちゃいますよ」
「ひいっ」
ぎらりと、ゼロスさんの目が光った気がした。
そして私は思わず、やっぱりグーパンをお見舞いしてしまうのだった。

(ゼロスさんが言うと冗談に聞こえません!)
(ま、冗談じゃありませんからね)
(…!)



20090708 / 食べちゃうぞか冗談に聞こえません
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