キラキラと光を受けて店内のケースに入った飴玉が輝く。それは飴玉が好きなみかにとっては宝箱のようなものだろう。飴玉と同じように目を輝かせているみかは嬉しそうに店内を見回してせわしなく視線を動かしていた。それを見た累は連れてきてよかったなと心底思う。

「累ねえすっごいで!どこ見ても飴ちゃんや〜!」
「喜んでもらえて何よりだわ」
「なあ、なあ、見て回ってもええ?」
「もちろんよ。そのために連れてきたんだから」

累の言葉にみかはぱあっと笑って早速近くにあるショーケースを覗いた。
みかと累が来ていたのは最近女の子の間で話題になっているキャンディーショップだった。女の子の友人からこのお店のことを聞いた累はみかを連れてくるしかないと思った。案の定みかは大喜びしてくれている。

「う〜ん、」

しばらく店内を見て回っていたみかだったが、突然悩み出す。

「どうしたの、みか」
「お師さんに買ってったら貰ってくれるやろか〜思ってなあ」

みかが悩んでいることは確かに頷けることだった。
宗は普段からご飯を食べない。食べることに興味がないというのがぴったりな言葉で、好物のクロワッサン以外は積極的に食べようとしない。それがあるためにみかは悩んでいたのだ。

そんなみかにぴったりな飴玉を、累は見つけていた。

「みか、こっち」
「ん?なんや?」

累がみかを連れてきた場所には瓶詰めになった飴玉が売られていた。その側にはからの空き瓶とたくさんの飴玉が並んでいる。

「好きなのを選んで瓶に詰められるんですって。これならインテリアにもなるしいいんじゃない?」
「これならお師さんも貰ってくれるかもしれへん。おおきに累ねえ!」

早速とばかりにみかは空き瓶を手にして飴玉を選び出した。その後ろ姿は楽しげで、累も思わず笑顔になる。

「できたっ」

しばらくして聞こえたその声に累はみかの手元を覗いた。みかの手元の空き瓶に入っていた飴玉は薄いピンクと、青みがかった紫、それからワインレッドでまとめられていた。

「お師さんぽいやろ?」

確かにそれは宗の髪色と瞳の色、それからvalkyrieの衣装の色で、宗のイメージにぴったりだった。

「ええ、とっても素敵だと思うわ」

累がそう言ってやると一層嬉しそうにみかは笑った。
そんなみかの手元にもう一瓶握られていることに累は気づいた。

「もう一つは?」
「んああ…これは…秘密や」

みかはそれを背に隠してしまう。申し訳なさそうに累を見るみかに気にしないでという意味を込めて頭を撫でてやる。

「だいぶ長居しちゃったわね。宗も心配するし帰りましょうか」
「じゃあ、俺、会計してくるわ〜待たせてごめんな累ねえ」

みかは会計へと急ぐ。
会計を終えたみかは大事そうに紙袋を抱えて累の元へ帰ってきた。

カラコンコロンとお店のドアのベルを鳴らしながら外へ出る。外は赤く染まり始めていた。

「累ねえ、」

店を出てすぐにみかは累のことを呼び止めた。

「なあに?みか」
「あんな、これ、今日のお礼や!」

そう言ってて渡したのは先ほどお店で買った紙袋のうちの一つだ。
累がそれを受け取ると、

「なあなあ、はよ開けてみて!」

みかは早く早くと累を急かした。
累が紙袋を開けてみるとそこには飴玉が入った瓶が一つ。二種類のピンクの飴玉と、白い飴玉が詰まっていた。

「私のイメージで作ったの?」
「累ねえといえばピンクやもん。可愛くて累ねえにぴったりやで!」
「ふふ、嬉しいわ。ありがとう。それじゃあ私からも」

そういうと累は自分の持っていた紙袋をみかへと差し出した。実はみかが宗へと飴玉を選んでいる間、累も同じように飴玉を選んでいた。集中していたみかは気づいていなかったようで驚いた顔をする。

「これ、俺に?」
「開けてみて」

累の言葉にみかはドキドキしながら開ける。中に入っていたのはみかが累にあげたものと同じで、中身は黄色とアイスブルーの2色が詰まっていた。それはみかの瞳の色と同じだ。

「みかは嫌いだって言うけど、私はあなたの目の色、とっても綺麗で大好きよ。こんなにも綺麗なんだから」

みかの手を瓶ごと自分の手で包み込んで笑う累。
お世辞でもなんでもない累のまっすぐな気持ちが伝わって来てみかは頬を真っ赤にする。
どうしようもなく恥ずかしくて、でもそれ以上に嬉しくて仕方ないみかは、

「おおきに」

そう言って特大の笑顔を浮かべた。



20170611
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