「渉、いるんだろう?」

Trickstarとの話も終わり、生徒会も解散した後、英智は誰もいない生徒会室に投げかけた。
するとどういうことだろう、気づくと英智の座る椅子の背後からぬるりと渉が姿を現した。

「やはりお気づきでした?」
「気配は感じなかったけどね。君のことだから絶対に聞いていると思ったよ」
「まあ、大事な我らが姫のことですからね!ボロボロの剣だとしても、私たちは彼女を守るためならそれで命を尽くして戦いましょう!」

彼はどこからか取り出したティーポットで机の上で空になっていた英智のカップに紅茶を注いだ。

「その物言いだと毒でも入ってそうだね」
「まさか!別に危害を加えなければ私たちも剣を取ることはないですよ。少なくとも私は、あなたについて行くと決めましたからね」
「…怒っているかい?」
「とても楽しく拝見していましたよ!累を言い包めるなんて無謀としか言えませんけれど!」

身振り手振りを加えながら全身で伝える渉はとても楽しそうだ。

「できれば彼には僕の手元にいて欲しかったんだけれどもね。単純に僕も彼を気に入っているし」
「おや、そうなんですか?まあ累はあなたのことを嫌っていそうですが…一方通行の想い、なんで悲しいお話でしょう!」
「ねえ、やっぱり怒っているよね?」

英智の問いかけに、渉は誤魔化すようにして自分の手にするカップに口付けた。


20181017
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