「どうした?友ちん浮かない顔して」

届いた衣装をなずなから見せてもらい、今後のユニット活動についての話がひと段落した頃、友也がどこかすっきりとしない顔をしているのを見てなずなが声をかけた。

「いや、広瀬先輩のことなんですけど、どっかで見たことあったなあと思って」
「あれ、ぼくと一緒にライブを見たからじゃないですか?」
「それもそうなんだけど、部長のスマホの写真にいたのを思い出して。知り合いなのかなってでも一度も聞いたことないから」

友也が言う部長が誰なのか、それはなずなも知っていた。

「友ちん、それ忘れた方がいいかも。間違っても渉ちんの前で聞いたりしないで」
「何かあったんですか?」
「友ちんは気にしなくてもいいことだかららいじょうぶ!でも渉ちんには言わないで。渉ちんのことらから傷ついたりとかはないと思うけろ、」

どこか悲しげな表情をするなずなに友也は口をつぐんだ。きっとこれは触れていけないことだと理解したのだ。

なずなは動揺していた。どうして渉は友也に写真を見せたのだろう。もしかしたら偶然見せてしまったのかもしれないけれど、そんなミスを渉がするか。しないと思う。
もしわざと見せたとしたら。もしかしたら渉はなんらかのキッカケで累の記憶が戻ることを望んでいる?

そうだとしたら。

記憶が戻った時、累は自分に失望するだろうか。
そう思ってなずなの胸は強く痛んだ。



20180912
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