机の上に腕をのせ、それを枕のようにして顎をのせる。そのままため息をつく。
千歳千里と関わってから何故だか彼を目で追ってしまう。これが恋だと問われたらイエスと答える。元より彼のような自由で堂々としててふわふわした感じの人がタイプなのだ。しかしただのモブが好意を寄せたところでどうにもならない。悲しきかな。こうしてため息を吐くことしかできないのだ。
はあと二つ目のため息を吐いたところでたまたま、本当に偶然に近くの席に座っていた白石蔵ノ介と目があった。
なんだこの最近の目が合う率はと思いながら苦笑いした。心臓はドクンと跳ねる。彼にとってはただのクラスメイトと話すこと。私にとってはとても緊張してしまうこと。
「名字さん、どうかしたん?」
「あはは、なんもあらへんよ」
「そう?ならええんやけど」
「話してもどうにもならへんし大丈夫やで」
「まあ、溜め込まないようにな」
それだけ言うと彼はもとより話していた友人たちとの話に戻ってしまった。
やっぱり私はモブなのだ。きっと彼らのトクベツにあたるなら、大丈夫と言ったとしても話すように促すだろう。今回話しかけたのだってたまたま目があっただけでクラスメイトなのに無視もできないとあってだろう。
だって彼の周りはあんなに色づいて見える。彼以外はモノクロの世界で彼の周りだけがカラフルな世界。
私がいるのはモノクロの世界。
今日も今日とて変わらぬ一日を過ごすのだ。
20140810
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