すみません、大神晃牙さんですよね?

「誰だ?」

放送部のものです。校内新聞の作成にご協力ください。
広瀬累さんをご存知ですね?

「あ?広瀬累?」

ええ、あの朔間零に気に入られている男の娘ですよ。知っていますよね?

「吸血鬼野郎が気に入ってるやつなんて知らねえよ」

今彼についての記事を書こうと思ってるんですけど彼はどんな人ですか?

「本人に直接聞けばいいじゃねえか」

いや、そうすると奇人の方々の目が怖くてですね…。かと言ってその奇人たちに聞くのも怖いですし。

「…」

あっちょっと、どこ行くんですか?

「時間の無駄だろうが。俺はあんな奴知らねえからな」

そんなこと言わずに。あなたから見て彼のライブはどうですか?

「…男の癖にあんな格好なんておかしいだろ…ただ、悪くはねえ…と、おも…なに言わせやがんだ!!!」

いや、勝手に言ったんでしょう。なんだかんだアイドルとしては認めてるんですね。

「あんな姫野郎のことは知らねえ!」

あっ、待ってください、もうすこし聞かせてくださいよ。





お、ちょうどいいところに。氷鷹北斗さんですよね。

「突然なんでしょう」

ああ、先輩だからとそんなにかしこまらなくてもいいですよ、自然体でどうぞ。

「…わかった、そうさせてもらう」

それでですね、広瀬累さんについてお聞きしたいのですが。

「広瀬先輩?」

ええ、彼について記事を書こうと思いまして。彼はどんな人ですか?

「そうだな…いつも助けられている。なんせ部長がああだからな…」

部長、というと演劇部部長でもあり三奇人の一人でもある日々樹渉さんですね。

「ああ、広瀬先輩が演劇部の公演を手伝ってくれることが多いからな。先輩たちの演技は素晴らしい」

広瀬さんは特に女性の役ばかりですよね。普段もそうですが変わっておられるようですがどうお思いですか?

「別に、問題はないと思うが。広瀬先輩は広瀬先輩だろう」

ああ、まあそうですね。

「もういいだろうか、この後レッスンを控えているんだが…」

ええ、大丈夫です。ありがとうございました。





おっ、そこにいるのは2winkのお二人ですね

「なんですか〜?」
「声をかけられるなんて俺たち結構有名になったのかな〜?」

ええ、この間のDDDのパーフォーマンスは素晴らしかったです。

「まあ、反省文はかかされましたけどね〜」
「あれは大変だった…」

ところでお二人は広瀬累さんと仲が良いそうですが。

「確かに広瀬先輩とはよく話しますね」
「仲良しですよ〜!」

あ、敬語はなくて大丈夫ですよ。
今彼についてインタビューしてまして。

「広瀬先輩はかっこいいよね、特にDDDは最高だった!」
「俺たちも満足だよね!」

かっこいいですか…?可愛いではなく。

「うんうん、かっこいい!自分の意見がはっきりしてるし〜」
「アイドルとして完璧!」
「しかも優しいし〜」
「でもレッスンは厳しい!」
「だけど俺たちのためってわかってるから問題な〜し!」

はあ、べた褒めですね。
わかりました、ありがとうございました。

「あれ、お兄さんもう言っちゃうの?」
「ええ〜まだ言いたいことあったのに〜」





こんにちは、羽風薫さん。

「えっなに〜?男に話しかけられるとかないんだけど」

広瀬累さんと仲が良かったと思うのですが間違いないですか?

「急になに〜?まず誰?」

放送部です。彼について校内新聞を書こうと思うのでお話を聞いて回っていました、ご協力お願いします。

「…ふうん、そうなんだ」

羽風さんは失礼ながら女の子が大好きだと見受けられるのですが、広瀬さんもその中に入っているんですか?

「いや、ないない。友達だから」

意外ですね、付き合ってるのではという噂もお聞きしましたよ。

「いや、あれでも男だから」

そうですね、あの格好はやはりどうかと思いますよね。

「…もういい?俺忙しいんだけど」

え、あ、羽風さん、待ってください!








「お前さんが累のことを嗅ぎまわっていたやつかえ?」

えっあっ、朔間零!?

「れい〜こわがらせちゃダメですよ〜」
「せっかくサプライズを考えていたのに普通に出て行ったらつまらないじゃないですか〜」

三奇人…??!
な、何かご用ですか?

「いんや。累のことを記事にするんじゃろう?せっかくだから我輩たちも協力しようかと思ったんじゃがのう」
「るいのことならぼくたちがいちばんよくしってますよ〜」
「どうして聞いてくれなかったんですかねえ!累といえば私たちでしょう!」
「どれ、累の素晴らしさを我輩自ら話してやろうではないか。実は軽音楽部の部室が空いておってのう」

えっ、いや大丈夫です。結構です。
ひいっ。

「遠慮することはないぞ」
「そうですよ〜せっかくですからたくさんおはなししましょう〜」

いたっ!痛いですって!どんだけ強い力で腕を掴んでるんですか!

「さあ!行きましょう!お茶のご準備はお任せください!」




後日。
校内の掲示板を見て顔をしかめる彼。
その彼の目線の先には三奇人が彼のことをべた褒めする記事が乗せられた新聞があった。
あれはなんだと三人に抗議しに行く彼が見れるのはこのあとすぐのことである。

これを書いた放送部員がどうなったのかは、彼が預かり知らないことだ。


20190425
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