転生審神者ちゃん(5) その2

過去に投稿してある転生審神者ちゃん5歳の続き。


「審神者様!まずはじめに初期刀を選びましょう!」
「しょきお、」
「はい。こちらの5振りからお選びいただけます」

最初に案内された部屋には5振りの刀が置かれていた。

「左から、加州清光、歌仙兼定、蜂須賀虎徹、陸奥吉行、山姥切国広です。詳しい情報は、あっそうそうこちらを差し上げます」

こんのすけは瞬きをしている間に口にでかい端末を加えていた。

「このパッドに指南書も刀たちの情報も政府からの連絡も入ってきます。もちろん審神者様のお部屋にも本で置いてありますのでそちらも合わせてご確認くださいねえ!」
「はあい」

こんのすけの説明を聞きながらパッドの電源を入れる。いくつかのアプリのアイコン、それを一つずつチェックしていくとお目当ての刀剣の情報が載っていると思われるものにたどり着いた。

本当は最初に審神者業について学びたかったがいかんせんそのページ数が莫大すぎて今読むのは断念した。わからなかったらある程度はこんのすけが知っているだろう。

最初に開示されているのは5振りの情報だけであとは真っ白だった。自分で埋めなければいけないのだろう。
5振り基本的な彼らの情報を頭に叩き込んで次は審神者の交流掲示板なるものを見た。政府の情報より、実際の審神者の情報の方が有用だろう。ざっといくつかの板を見て初期刀候補を絞る。

お小言がうるさいのは嫌だなあ、ということで歌仙兼定と蜂須賀虎徹は遠慮いただきたい。山姥切国広は拗らせているのに、初期刀に加え子供という条件を課すのはかわいそうなので却下。明るい陸奥吉行でもいいけれど私の代わりに政府の方々とお話ししてもらうであろうから不安が残るので却下。と、なると加州清光かなあ。でも彼も愛されたい子らしいから最終的にクズ審神者となって審神者をやめさせられるであろう私に仕えるのもかわいそうだ。
うううん困った。

「こうなったらあみだくじでいいか」
「そんなんでよろしいんですか」
「どうせ誰に頼んでも大変になるのは目に見えてるから運に任せる」

パッドを操作してメモ帳に適当にあみだくじを作る。5本の線を引いて梯子をかけて、上に名前、下の一本に☆印。☆印を引いた子が今後の私のパートナー。

「ふむ、蜂須賀虎徹、か」

運命の星に選ばれたのは彼らしい。少し堅苦しいかもしれないが、私のやろうとすることに理解は示してくれるだろう。

「こんのすけ、どうすればいい?」
「はい、両手で持っていただいて、呼びかけていただければ彼から答えてくれるかと!」

なるほど。では早速と一振りを手にとって心の中で声をかける。

"蜂須賀虎徹、どうか私の力になってくれませんか"

ぶわりと目の前がピンクで埋まる。それは桜の花びらだと気づいたのは、そのピンクが収まって、目の前に金色の鎧をまとった長い淡い紫色の髪をなびかせた彼が、立っているのが見えた時だった。
彼の周りをひらりと舞った花びらは自然に消えていった。

「蜂須賀虎徹だ。俺を贋作と一緒にしないでほしいな」

綺麗な顔で笑う彼はそう口上を述べたあと、視界を彷徨わせる。そしてその視線が下に降りてきて、ようやく目があった。

「君が俺の主かい?」
「はじめまして蜂須賀虎徹さん。まずはじめに説明しておかなければならないことがあるので一つずつお話しいたします」

付喪神であるということはちらりと見たので出来るだけ丁寧に対応する。蜂須賀虎徹さんは私が流暢に喋ることに少し驚いたような表情をしたが、話を聞いてくれるようでゆっくりと頷いた。

「まずはじめに私には前世の記憶があります。なので見た目は子供ですがある程度の知識はあります。ちなみに前世は今から30年ほど前なので知識は現代のものに偏ります」

「次に私は審神者をやる気はありません。不快に思われたかもしれませんが理由はあります。私は今後私のような幼いものが審神者に雇用されるのを望みません。ですので、私が審神者として失敗出来るよう、ご協力願いたいのです。政府に二度と幼子を雇用しようと思わせないために。」

「最後に、私の体は子供です。いくら心が大人でも体がついていかないことが多いのです。なので何かとご迷惑をおかけしてしまうかと思いますが、何卒お助けいただきたいと思うのです。どうかお願いできませんでしょうか」

なるべくゆっくり、彼の顔色を見ながら伝える。そして深々と頭を下げた。
そのまま彼からの返事を待つ。

「ふむ、あらかた理解した。まずは顔を上げてくれないか?子供に頭を下げさせたままなのはいただけない」

彼の言葉に従い顔を上げる。上げるというかもはや見上げるような感じだが。それに気づいた蜂須賀さんは私のために膝をついてくれる。

「これから俺の主になるんだ、敬語はいらない。あなたの話はかねがね理解できるものだったよ。協力したいと思う。よろしく頼むよ、主」

私に手を差し出す蜂須賀さん…いや改め蜂須賀。王子様みたいだなあなんてメルヘンちっくなことを思ってしまった。




独自設定多目ですけど刀剣夢なんてそんなもんだと思ってる。
はちすかわかんない。





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