ここからも、地球と同じように星が見える。一度だけ、あなたと一緒に見た星空と同じ空が。
18になって、言葉遣いもだいぶマシになって、今私は故郷にいる。相変わらず薄暗いハゲたとこだけど、残念ながら私の故郷だ。一番よく来る丘の上で、一人寝ころんで空を見る。珍しく星が綺麗に見えた。雲がかからない夜は風も乾いていて気持ちいい。
「きれい」
散らばった星達が銀色に光って見える。実際そんな色ではないのかもしれないけど、星を見るとなぜか銀色にしか見えなかった。
―地球では、夜じゃなくたって銀色に出会えたけど。
そこまで考えて、自分の頬が濡れていることに気が付く。
「あれ、なにヨ、これ」
拭っても拭っても、流れ続ける雫は重量に従って落ち、私のこめかみを濡らした。涙が止まらなくて、余計に涙が出た。
今はもう、拭ってくれる人はいない。
そんな現実に、今更押しつぶされそうになる。別れなんて、17の時に受け入れたつもりだったのに。なのに、今たったひとりに会いたくて仕方ない。
「あい、たい」
この声が届いたなら彼はきっとすぐに来てくれるのに。でも、今はもう、この声すら届かない。
(星が滲む)
(きれいな銀色が、滲んでく)
2010.10.23
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