会う度に美しさを増していく花鹿が、この想いをさらに重く、深く、熱いものへと加速させていく。その浸食される感覚に私は少しの焦りを感じながら、だがしかし、身を委ねた。理性では拒否できないところまで私はもう来ている。花鹿を、求めている。


「立人!」
「花鹿!」

半年ぶりに会った花鹿はまたさらに美しさを増していた。抱きついてきた体は相変わらず細く、けれど柔らかく、いつからか仄かに甘い香りさえしてきた。抱き締め返すとほんの少しだけ目眩。12歳の花鹿はそうは見えないほど艶やかで美しい。私にとってこの世で最も愛しい存在。

「会いたかった!会いたかったよ立人」
「私も、会いたかったよ花鹿」

私の頬を包み込む優しい手のひら、透き通るグレーの瞳、ひとつひとつを確かめるように触れる、見つめる。このまま時が止まればいい。何度も何度も願った。

「今回は何日いられるの?」
「4日」
「ええー!?…短いなぁ」
「許せ、これでも延ばしたんだ」
「ん、仕方ないね。でも立人、仕事頑張りすぎないでね…って言っても聞かないんだろうけどさ」
「…花鹿」
「あはは!何寂しそうな顔してるんだ。よし!じゃあ早く家にいこう!少しでも長く立人といたい」

そう言って花鹿は私の手を引いた。振り返って笑った。少しでも長く一緒に。花鹿はいつも私が言いたいことを先に言ってしまう。それは堪らない幸せで、でも少しだけ悔しかった。繋がれた手を握り返すと振り返ってまた嬉しそうに笑うから、私は何も言えなくなる。ただこの手を離したくないと思った。

「花鹿」
「んー?」
「なんでもない」
「なんだよ、気になるだろ」
「本当になんでもないんだよ」

ただお前を好きだと思った。


return me
いつだって笑っていて


2011.10.17


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