「君は、冷たいの?」

低く響いた彼の声が私の体を震わせる。青い目が見下ろす、奥底で鋭く光るその輝きを私は見つめていた。近づく距離が私の拍動を加速させて呼吸が苦しい。

「わからない」

口をついた言葉は嘘じゃない。冷たい氷を操る私の心まできっと冷たくて、浸食されるみたいに体も冷たくなって。自分では自分のぬくもりを信じられない。だから、誰かが私を確かめて欲しいの。

「なら、」

ううん、誰かじゃない。

「僕が、確かめてあげます」

あなたが。

「うん…確かめて、バーナビー」

この喉を滑り出る声はとても私のものと思えなかった。この体を撫でる手はとても彼のものと思えなかった。甘く、優しく、切なく、もどかしく。私から湧き出すものとあなたが与えるものが私に熱をわからせる。ああ、私あたたかいんだ。こめかみに染みていく涙の跡が熱い。

「確かめ、させて」
「…カリーナ」

唇を掠めた唇が紡ぐ。また私を熱くさせる。

「僕に君の冷たさを分けてください。君は冷たいから。熱くて、熱すぎて、苦しいんです。僕を冷まして。」

青が真っ赤に燃えてる。堪らず私は彼の首に腕を絡めて、めい一杯に抱き締めた。



確かなものを私に教えて


2011.09.26


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