「アリシア」
いつになく真剣な声が聞こえたら、もう逃げられはしない。
「…っん、はぁ、」
「なんで、声を殺すんだい?」
「だ、って…っあ」
少女の清らかな肢体を撫でる手は、その感触を楽しむように動き回る。青年ファルディオがベッドに組み敷く少女、アリシアは口をきつく結んで声を漏らすまいと必死だった。その姿がいやに扇情的で、ファルディオは眉をひそめながら笑った。
「参ったな…。君ってすごく煽り上手だ」
「っえ…?あ、やっファルディオ!」
「堪らなくなる」
そう言ってアリシアの首筋に舌を這わせる。絹のように滑らかで白い肌がファルディオの舌によって濡らされる様がまた壮絶に艶かしい。いつまで経っても幼く初々しい反応をみせるくせに、身体や表情は目を見張るほどに大人なのだからそのギャップに参ってしまう。如何程か性急になったファルディオの手はそのままアリシアの衣服を全て剥ぎ取った。愛らしい抵抗をみせた口や手を封じ、その肢体を改めて貪る。
「ぁ、やぁっ!ファル、ディオッ」
「アリシア…綺麗だよ」
豊満な胸の頂に吸い付けばアリシアは泣くような声をあげた。熱くなるばかりの思考と身体がファルディオを焦らせてゆく。柔らかく揉みしだく手は徐々に下肢へと伸びていく。その手がアリシアの中心を擦ると、白い肢体が大きく跳ねた。
「まっ!まっ、て!あぁ、んっ」
「意地悪だなあアリシア、待てるわけ、ないだろ?」
にやり、と余裕を見せつけるように笑うファルディオを潤んだアリシアの目が睨み上げた。そんな顔されると余計ダメになるんだけどなあ。肥大する熱の最中、天然小悪魔のアリシアにいくらそう思おうと意味がないことは経験済み。自分が濡らした小さな唇に上塗りするように再び唇を合わせ、同時に自分の衣服を脱いでいくファルディオにも、最早余裕はなくなりつつあった。
「アリシア、もう、いい?」
「ふぇ?!…っ!あっ、ひぁ」
「っ…キツ」
伺っておいて答えを聞く間すら待てずアリシアの中に熱を埋めた。瞬間アリシアからあがった甲高い声がファルディオの聴覚を犯す。埋まる熱は一層に質量を増した。
「っう、あー、アリシア反則…」
自分の下で涙を流しながら切なく見つめてくるこの少女はなんて凶悪的なんだろう。恐らく無意識であろうこの腕にしがみつく手を今すぐシーツに縫い留めて、細い腰を掴んで、濡れた唇に噛みついて、思い切り揺さぶりたい。壊してしまいたい。もっと俺で、乱れて欲しい。そんな浅ましい感情を再現するかのようにファルディオの律動は激しさを増していく。比例するようにアリシアの口からは声が漏れていく。その合間に紡がれる自分の名に、ファルディオは気が狂いそうになる
「アリシア、君って…ほんとに」
「ファルディオッ、ファル、ディオ…!」
「…っく、すまない、止められ、ない…ッ」
腰はもっと揺れたがる、熱はもっと核心を突きたがる、心はもっとアリシアの全てを欲しがる。らしくもなく無我夢中で性を交えたら、この愛が少しは満たされるのか。論理的思考などまったく意味を持たなくて、こんなにこんなに求めているのに、もっともっとと欲しがる自分に。愛と名を与えるこの少女はまるで女神だと思った。
煽りたくなる恋心
2011.04.15
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