「っい、いやぁ!」
白い喉から鳴る声はまるで悲鳴の様だった。でも今の僕にとっては興奮を煽るものでしかない。この柔らかな肢体、金色の髪、揺れる瞳もこの時間も。全部全部僕のもの。
逃げ腰になる彼女を強く掴み激しく突き続ける。そのたびに彼女の口から漏れるのは、力無く抵抗しながら僕の名を呼ぶ声。
「やめっ、て…ロキ」
「嫌だ、やめてなんか」
続くはずなのに最後まで言えず、言葉を呑み込んで彼女の唇に噛みつく。無理矢理自分の舌を差し入れて彼女の舌を絡め取った。熱が疼くような音が部屋に響き渡り、彼女の声がユニゾンする。
「あ、あっ、んん!」
映すものを探しているかのような金色の瞳に必死に目を合わせた。涙で揺れながら切なく僕を見つめて、たまらなくなる。目が、離せない。
「君は僕の、僕だけの、ルーシィ」
だから、何もかも許されると思った。
僕の想いが、繋がることが、やめてあげられないことが。
「ロ、キッ」
「ルーシィ」
最後にそう泣いた彼女を今はこの腕の中に閉じ込める。目尻に残る涙の跡を薄くなぞりながら。
無理矢理抱いたあとの消失感が押し寄せる。どんなに身体が溶け合っても、名を呼び合っても、ひとつになんてなれない。そんな当たり前のことを今更実感する。
「ごめん、ルーシィ」
眠りに落ちる彼女にこの声が何になるというのか。それでも、それが今の僕のすべてだったんだ。
「好きになって、ごめん」
うわごとの様な恋でした。
それでも、愛だと信じていました。
2010.09.11
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