こんなに化けるとか反則だろ。

隣に座る千鶴は幸せそうに微笑んで、風になびく髪を柔く押さえた。そんな仕草がいちいち魅力的だと最近思う。


「はぁ、今頃あいつらがいたら大変だったな」
「え?」


小首を傾げて問う姿に、出会った頃の幼い面影はほとんど見えない。もしあの頃にこんな千鶴がいたなら、幹部内で斬り合いだったろうな。そんなことを考えて小さく笑った。


「どうしたんですか?私どこか変ですか?」


千鶴は慌てたようにはたはたと手を動かし、顔やら髪をいじる。
ああ、こんなところは変わらないな。


「いや、綺麗だと思ってな」


いつも以上にさらりと出たセリフに千鶴は止まる。そして思い付いたように笑った。


「あ、桜ですか!綺麗ですよね!」


千鶴らしい言葉に再び笑ってしまい、終始困ったようなその顔を楽しんだ。


花ひらく君


2010.10.09(2011.07.23 改変)


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