君を守るもの
(沖田と千鶴)




決して嘘ではない。君を抱きしめるこの腕がなくなっても、君に口づける唇がなくなっても、ぬくもりがなくなっても。僕はずっと君のそばにいると言ったこと。嘘ではないけど、何もかもが嘘で終わればいいと思うのだ。僕は永遠に君のそばで、君だけを感じていたい。でも時は過ぎるから、永遠なんてないから。僕らはいつか別れなければならない時を迎えるんだと思う。

「あなたのそばにいられなくなるなら、私はあなたの一部になってしまいたい」

僕の目を真っ直ぐに見つめながら君が言うから、僕は泣くことも笑うことも忘れてひたすらに君を抱きしめた。

「一部じゃ嫌だ、全部になって」

君が僕のすべてを満たすといい。君と僕でひとりになればいい。お互いの存在を感じられなくなるくらいなら、同じ一つになって一緒に呼吸をしたい。触れられなくても共に生きたい。愛がわからなくなっても共に生きたい。

「あなたが望むなら、私はあなたの何にだってなれます」

そう君が僕に告げるから僕は余計に強く君を抱きしめるんだ。君が僕にくれるように、僕も君に言葉をあげたいけど。僕の言葉はどこまでもどこまでも拙いから綺麗な君の言葉のようにうまく伝えられない。だから僕は、君を抱きしめよう。伝わらなくてもいい、ただ僕を、感じて欲しいと思うから。



2011.01.05 拍手より


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