※SSL


告白したのは私からだった。今でも思うのだがそのときの私は本当にすごい。だってあんなにかっこよくてやさしくて頭も良くて運動神経も良い、絵に描いたように完璧な先輩に告白したんだから。


「ねえねえ、千鶴こっち向いて」
「あ、あの、」


にこにこと笑いながら私の両頬を包む先輩の手にドキドキ。付き合ってもう三ヶ月が経つ、けど相変わらず私は先輩にドキドキしっぱなし。対して先輩と言えば、付き合う前とは何ら変わらず私に接してくる。その妙な差に、私は未だに慣れていない。


「もう可愛いなあ、そんな顔ばっかしてると食べちゃうよ?」
「かっ!?いえあのっ、可愛くなんて」
「はいはい、千鶴はもっと自覚してよ」


ふう、と先輩の熱い時が私の頬にかかった。瞬間火照る私の身体、跳ね上がる鼓動。先輩の匂いで頭がクラクラして、ああ、私この雰囲気知ってる。


「キスしていい?」


そう、先輩はキスをする時、必ず私に確認を取る。優しく壊れ物を扱うように触れて、私が目を閉じるとまもなく宛てられる唇。そのキスに慣れなくて、慣れるわけがなくて、私は呼吸を潜めながら毎回それを受け入れた。こくん、とうなずくことしかできない、自分が情けないと思う。


「好きだよ」


そして、キスの前の告白に、私はいつも泣きそうになる。こんなに素敵な人が、こんなに好きな人が、私を好きと言ってくれる。こんな幸せ、ここ以外どこにもないと。


「・・・ん」


ふわ、と先輩の匂いが私の鼻を掠めたあと、あたたかい感触が唇に降る。先輩のカーディガンを少し掴んで、少し背伸びをして。口べたな私の想いが少しでも伝わるようにとこたえた。


「千鶴、」


私の頬に宛てられていた手が離されたかと思うと、その腕はそのまま私の身体を抱きしめた。少し痛いくらいの抱擁に、そして切ない先輩の声に、喉の奥がきゅうっと熱くなる。


「君を、抱きたい」
「っ・・・」


耳元で聞こえた先輩の声は今まで私が聞いてきたどの声よりも熱っぽくて切実だった。怖い、と思ったのは嘘じゃない。でも、嬉しい、と思ったのも嘘じゃない。


「は、い」


精一杯の声で答えると途端に唇をふさがれた。確認のないキスは初めてで少し引け越しになってしまったのを先輩はがっちりと引き寄せる。その腕の強さに、熱いキスに、これからはじまるはじめてにドキドキしながら。私は先輩の首にぎこちなく腕を回した。


恋は私を大胆に、


2010.11.27


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