※神田+リナリー←アレン


絵になるねえ。並んだふたりを見て最初にそう言ったのは誰だっけ。

「え?何がですか?」
「あのふたり」

にやけ顔のラビが指差す先には似通った長い黒髪を揺らすふたりがいた。ひとりは少年、ひとりは少女。東洋系の面立ちで全身のどのパーツも整っている。美男美女、と的確な表現をしたラビに対し、休むことなく食事を続けていたアレンは頬に食べ物を詰め込んだ状態で言う。

「ふぃなひーゎはともふぁふふぁんらは」
「アレンさん、まず飲み込んで」

ふがふがと慌ただしく何かを話すアレンだがほとんど言葉になっていない。生真面目に嚥下を指示したラビはそのまま話を続ける。

「いや〜、ユウだって世間的にはかなり美男だぜ?」
「なんだ、何て言ってるかわかったんですか」
「なんとなくさ」

ごくん、と聞いているこちらの喉が痛くなるような音が聞こえラビは冷や汗をかく。なんとなく聞き取った言葉はどうやら当たりだったようで、会話はそのまま続行。

「まあ仮に顔は良いとして正確に大問題ありですよ」
「まあ、もうちっと愛想良かったらなあ」
「ラビの顔以外と神田を足して2で割ればちょうどいいんじゃないですか?」
「ちょっと待って、どういう意味ですかアレンさん?」
「そのままです」

可愛い顔して吐かれる言葉はまるで悪魔の声みたいだ。ぐさりと心臓に突き刺さったナイフを抜き取りなんとか平静に戻ったラビは再び神田とリナリーの方に目を向けた。

「まあ俺はともかくとして。じゃあユウとリナリーの子どもとか最強じゃね?」

何気なしの発言だった。そして言ってからラビは底のない後悔をした。隣から漂う殺気が己が身にぶすぶす突き刺さる。

「ア、アレン様?」
「ラビ殺す」
「えっ!?いやちょっ、タンマタンマ!」
「さよならび」
「笑えないですぎゃああああ!」

その悲鳴を最期にラビの声は途絶えた。パンパン、と両手を叩いたアレンは大きく息を吸って身体の向きを反転させる。床に倒れてる瀕死兎が言う『美男美女』の方へと。

「馬鹿兎が。神田とリナリーの子どもより僕とリナリーの子どもの方が比にならないくらい最強ですよ」

複数の意味でね。そう意味ありげに呟きアレンの脚は軽快に床を蹴った。



きっと彼女に似て可愛くて、僕に似て一途な子に決まってる。



2011.04.03


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