砂浜の白から遠い遠いあの青まで、絵の具で描いたようなグラデーションを魅せる海はとても綺麗だった。日に火照らされて熱くなった砂浜を、あなたとふたり手を繋いで歩く。そんな今日を、私は幸せと呼ぶことにする。

「こらリナリー、そんなにはしゃぐと転びますよ」
「もう、心配性だなあ、転ばないよ」
「っていっていつも転ぶくせに」
「あ、言ったなあ?」

悪戯っぽい笑みを浮かべたアレン君に返すように私も笑う。足で水を蹴ると飛沫は踊るように舞い、彼に吸い付いた。

「っわ!ちょ、リナリーやったな?!」

冷たさに驚いた彼はすぐに両手で水を掬い私にかけた。声を上げて逃げる私を、彼は優雅に追いかける。

「きゃーっ!冷たいっ!」
「リナリーが先にやったんでしょう?」
「んもう!そんなにやってない!」
「やられたら倍で返すのが僕の主義です」
「調子いいんだから」

でも、好きよ。そう口をついた言葉はもうほとんど反射で、一瞬だけ驚いたような顔をしたアレン君はすぐに私の両頬を包んできた。水を掬ったその手は濡れていて、ひんやりと冷えている。

「ひゃっ」
「そういうこと、不意に言わないで下さい」

心臓が保たないんですから。少し頬を染めて言う彼はやっぱり年下だなあ、と思わせる愛らしさがあった。もうお互い、可愛いなんて言葉が似合うような歳ではなくなったけど。それでもやっぱり、変わらないものがあると思った。

「アレン君こそ、いつも急に好きって言うくせに」
「僕は僕、君は君」
「ほんと調子いいんだから」
「でも、好きでしょ?」

さっきよりずっと悪戯っぽい笑みを浮かべた、そんなあなたが愛おしい。こんな毎日が愛おしい。平和だね、平和すぎて、泣けてしまうね。そんな風に言っていた日々さえも、こんなにも愛おしめる。それはほかのだれでもない、あなたが私と生きるからでしょう?



毎日、あなたに伝えたいよ


2011.03.03


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