崩れ落ちる世界の終わりに、私はあなたを想った。私と対峙する白髪が眩くて、瞼を閉じているのにぎゅっと目に力が入る。幻でさえあなたは眩かったのだ。私を照らす光だったのだ。

―世界の終わりは、なんて綺麗なんだろう。

喉は潰れていてもう声が出ない。指先にすら力が入らない。心臓は微弱にも拍動を繰り返し、あなたを想う私に時間を与えた。あまりに穏やかな時間が過ぎる。あなたを想うときだけ、私は街にいた色とりどりの洋服を身に付けていた彼女たちと等しく少女であった。甘く切ない恋に身を焦がし、可愛くなりたいと思い、幸せに笑った。あなたが好きでしかたなかった。ああもうじき、私は私の命を終える。でも私の世界は、あなたを中心に回る私の世界は在り続ける。あなたがいなくなるその日まで。そう思うと幸せな終わりであった。私の世界が存在し続ける、たまらない幸せであった。だから寂しくなどなかった。悲しくなどなかった。でも、欲を言えば最後にもう一度だけあなたの名を呼び、また私の名を呼ばれたかった。



世界は色づいていた



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