もしかしたら、なんて甘い夢を見るほど俺は馬鹿じゃない。とは口が割けても言えねえけど。


「へ」

第一声は我ながら間抜けだった。目の前に差し出されたものは今まで幾多の女たちからもらってきだどれよりも小さく、そして安価。必要経費は10円だろう。それなのに、2月14日というだけでその10円は大きく価値を変える。

「なにヨ、いらないアルカ」

ぷく、っと頬を膨らませるその表情の愛らしさと言ったら。可愛いじゃ済まない。超可愛い。いや超超可愛い。いやいや超超超かわ(以下略)柄にもなく狼狽える自分をなんとか落ち着かせ声を発しようとするも、うまい言葉が見当たらない。

「いる!、し」
「、じゃあ、ホラ」

そう言ってずいっと手を差し出したチャイナの顔は真っ赤で、きっと俺の顔も真っ赤で。俺が掌のそれを取るなり一目散に逃げようとしたその身体を、逃がさないように抱き締めて、抱き締めて、たまらなくなって。奪うようにキスをした。

「ぐはっ!」
「んなななな!なにするアルカァァァ!」

唇が重なって3秒もたたないうちに腹部にはしった激痛は高揚でふわふわとしていた思考を容赦なくぶった切った。これでもかと言うほどに顔を真っ赤にして涙目で逃げていったアイツは間違いなく。

「っかわ……!」



今日と君で喜び2割増




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