君が導く全ての終焉(アレンとリナリー)
雪みたいな、綺麗で冷たくて儚い人だった。笑うたびに、泣いているみたいな人だった。わたしがそう言うと、君は君の冷たい手をわたしの手に重ねて、やっぱり笑った。
「君はいつも、僕を弱くする人でしたよ」
そう言ってぎゅっと強くなる手にわたしは握り返すだけで。やさしい言葉をもたないわたしは、君の望んでいるものにはなれないと思った。冷たく触れた唇はそんなわたしの思考を溶かそうとして、君は言い訳を口にする。
「欲しい、と言うよりは無いと苦しいから」
「…苦しいから、キスするの?」
「そう、だから君のを分けて」
もう一度触れた唇はさっきよりも少し温かかった。滑る舌の熱さに少し驚いて身捩るわたしを、わたしの手に重なっていた君の手が抱き込んでしまう。こんなことされるとわたしが苦しくなってしまうのに。それでも、わたしは。
「分けるんじゃなくて、全部あげる」
わたしは君に奪われるのでも与えるのでもなく、捧げたいと思うよ。
(そしてはじめて、きみはないたんだ)