焦がれた紅の美しさ(白瑛) :

※ネタバレ含 未来捏造







あなたを守る強さが欲しかった。
でも、いつしかあなたは守られる者ではなく、守る者へと成長していた。
それでも、優しく臆病で優柔不断な、可愛い私の弟だった。




『っ!?白……瑛、なぜ…今頃!!』

私の中で暴れる二人の女の声。
私の自我の足元を掴み引きずり降ろそうとしている。

「っあなた達は…ここで、死ぬのよ」



「私とともに」

自然と笑みが零れたのは何故だろうか。
この国の脅威となるこの二人と私を、私が消し去れる誇りからか、安堵からか。
手にした血塗られた剣、誰の血なのかわからない。それでも、間違いなく私の手が殺めた命。

『白瑛ぃぃいぃぃっ!!!!』

その尊い血に、私の罪深い血を上書きにする。
これがこの二人が私に宿ったときから分かりきっていた、私の役目。

皮膚を突き破る痛みなど、一瞬で、あの人が塗り替えて、忘れさせてくれるから。





左胸に突き刺した紅い剣。
その色が、あの人の紅によく似ていた。
それから、世界が愛しい紅に染まって。
それから、うまく、息ができなく、なって
それから、
それから。












「姉、上?」

冷え切った私の身体を見てあなたはまた、自分を責めながら泣くのでしょう。







-----
ここにきて白瑛さんがここまで来たのには理由があると感じた。
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -