砂糖づけラブレター(音也と春歌) :

あなたが好きです。

そのひとことから始まったバースデーカードには、柔らかい文字でこう続いていた。


こんなありきたりな言葉でしか伝えられない私は、まだまだ未熟だなあと思います。あなたが私にくれる真っ直ぐであったかい気持ちに、言葉に、追いつきたい。毎日毎日、あなたを感じるたびに思います。あなたが好きです。あなたが好きです。いつだって、あなたのことばかり、考えてしまいます。愛しくて、愛しくて愛しくて、泣きたくなるほど。あなたが好きです。あなたが生まれてきてくれたことが、ほんとうにうれしい。しあわせで、胸が苦しくなるほどに。あなたが好きです。あなただけがこんなにも。


ぱたりとカードに水滴が落ちた。柔らかい文字が滲んでしまって慌てて拭おうとするのに、後から後から水滴が落ちた。瞬きひとつで文字がすべてぼやけて見えて、自分の目が涙で濡れていることに気付いた。拭ったところで、やっぱり止まるものではなかった。心臓から喉へ、鼻へ、目頭へ。熱い想いが溢れだそうと上を目指す。こんな大事な想いを溢れさせるものかと意地になるけど、身体はなかなか言うことをきかないものだった。

「っあー、もう、春歌には、かなわないなあ」

仕事のため今日という日を共に過ごせないことは知っていた。そんな彼女が残していったバースデーカードは、彼女のやさしさと愛しさと柔らかさでひたひたになった、甘い甘いラブレターだった。

「春歌…、好き、好きだよ、愛してる」

愛しい彼女の名を呼びながらくちづけたラブレターは、思った通り甘かった。
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