多くを望んで下さい(総司と千鶴) :




できるだけたくさん、君の願いを叶えてあげられるように。
生涯知ることはないだろうと思っていた感情に、今生かされている僕だから。



「ねえ千鶴、そろそろかまってよ」

「っきゃ!そ、総司さん!」
「洗濯物ばっかにかまけてたらいじけちゃうよ」
「そ、そんな…それじゃあ着るものがなくなってしまいますよ」
「いいじゃない、ふたりでずっと裸でいようよ」
「はい?!」

洗い物をしたり掃除をしたり、とにかく働き者の僕の奥さんは僕に冷たい。いつも僕より家事をとってしまうんだから。

「千鶴、こんなに細いのになんで千鶴はやわらかいの?それにいつもいい匂いがする」
「ひゃあ!総司さん!み、みみ耳元でしゃべらないでくださ…!」
「肌も雪みたいに真っ白で、滑らかで。この項なんかたまんないよね」
「…ん、や、やだ総司さんっ、息が」
「ああ…、僕の奥さん。僕の、千鶴」

いつだって、この心と体が欲しくてたまらない僕。そんな僕を真っ赤になりながら受け止める君。口下手な君の、その小さな手から僕へのすべてが伝わってきてしまう。包むみたいにあっためるみたいに、やさしく触れる指先から。君の声が聞こえてきてしまう。

「千鶴…?ねえ、好きだよ」
「そ、うじさん」
「千鶴、千鶴。好きだよ、君がたまらなくどうしようもなく」

後ろから抱き締めた君の真白い肌が染まるんだ。舌を這わせたら甘くて、微かな息遣いに熱くなるんだ。僕の低い声に弱い君の身体が、僕の腕のなかでほどけるんだ。そのどれもが、惜しくて惜しくて仕方ないんだ。

「あ……愛して、ます、総司さん」
「千鶴」
「あなただけがいい、わたしと、あなただけが」

君はいい子で僕はわるい子。無いはずの未来を手繰り寄せてすべてを望む僕なのに、君は永く続く未来まで僕しか望まないんだね。そんな君に恋をせずにはいられないし、愛さずにはいられない。触れた場所からふたり、融け合えてしまえたならいいのに。たった僕しか望まない君の願いを、叶えてあげられたならいいのに。
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