君にだけ届かない歌(音也と春歌) :

君の視線の先にはいつもアイツがいた。

「一十木くん、新曲聴きました!今回はまた新しい音楽に踏み出したんですね、すごく素敵でした」
「ありがとう。七海にそう言ってもらえると嬉しいな」

花咲くみたいに笑って話す君が見ているのはあくまでアイドルの俺。でも俺が望むことは、そうではないんだ。

「すごく切ないラブバラードで…、作詞は一十木くんですよね。私もあんな言葉に出会ってみたいです」

無邪気に語る君は普段はあんなに優しいのに、今ばかりは残酷だと思ってしまうよ。歌詞へとのせた言葉に俺は出会いたくなかったのに。


君の瞳は僕ではないほかの誰かのもの
無邪気に笑いかけながら
僕を見てはくれない
優しくて残酷で
なのにどうしようもなく好きで
だから伝わらないと知りながら僕は歌うよ
君にだけ届かない歌
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