甘すぎた痛みを頂戴(ラビとリナリー)
あの日からずっと、時が止まったみたいだった。ふたり笑ってさよならを告げた。やさしかった。なのに、苦しかった。
「…あ」
あの頃より大人になった君は美しかった。見開かれた目が輝いて僕を映す。キラキラと、変わらないまなざしで僕を見つめる。不思議なくらいに、今の僕には君が何を言おうとしているのかわかった。
「会いたかった」
それだけだった。いつだって、君だけだった。会いたくて、会いたくて、仕方なかった。本当に、会いたかったんだ。泣き出した君に駆けていくこの身体を、僕は君のために愛そう。そして愛にまみれたこの身体で、今度こそ君を、抱き締めるから。