☆お花見に連れて行って!2



「レン!転ばないように気をつけてね」


「子供じゃないんだから!大丈…わっ!」



レンに届くように声を上げて注意すれば、レンは振り向きながら走っている。

…案の定転んでしまったが。


駆け寄ると転んだ際に出来た傷を擦っていた。



「レン、大丈夫?見せて」


「平気…痛っ…」

「やせ我慢なんてしなくていいから」


渋々と傷口を見せるレン。
傷口に土が少し被さっているのを確認すると、ウェットティッシュで拭き取り、傷口を舐め上げる。


「やっ…カイト…何して…」

「消毒だけど?」



平然とした態度で答えれば、頬を染めて俯く。
本当は内心全然平気じゃないんだけど。

だって、この子可愛すぎでしょ!
今日はまともに花見をしようかと思った矢先にこれだもんな…。

レンに、俺は常に変態だって認識されかねない。


「カイト…他の人に見られてる…」

「…え」



本当だ、なんか花見を楽しむ人よりも俺達をじろじろ見てる人のほうが多いような…。

この場に居づらそうにレンはキョロキョロと目を合わせないでいる。離れようにもレンは足を怪我していて、立てそうにない。

…仕方ない。


「わっ…カ…イト…!?」

「暴れないで。すぐここから離れるから」


すぐ大人しくなって、首に手が回る。
俺はレンを抱き上げて姫抱っこの体勢で人だかりを避けて行く。

人気のない所を探して歩くと頬に何かが触れた。


「カイト!すごいよ上見て!」


嬉しそうに指を差す先を見れば桜の雨。
穏やかな風と共にひらひらと揺れる花びらは春を告げるだけじゃなく、見とれてしまう程綺麗だった。


「綺麗だ…」


「来て良かったね!」


最高の景色、最高の笑顔にそうだね、と笑みがこぼれた。


END



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