☆初デート





「………」

「レン?どうしたのボーッとして」


「へっ?カイト…?」


ミクオの背中を見つめていれば不意に声をかけられ肩をビクッと震わせる。


「授業中メールした喫茶店行こ?」

「あっ、うん」


ぎこちなく返事をしたけど、カイトはそれほど気にしていないようですぐに歩き出した。

良かった…カイトには知られたくないし。
だって、俺が他の…特に男と一緒にいるとすぐ嫉妬するから。

俺だってカイトが他の人話してるとちょっと妬いちゃうけどさ。

さっきから会話もなく考え事ばかりしていた。


…って、俺が喋らないからなんだけど。



ぎゅっ


「…え?」


急に手に温もりを感じた。
温もりの感じたほうに視線を向ければ、カイトが手を繋いできたことに気づく。


「少しでも側に居たくてさ。…ダメかな?」


「ううん…いいよ?」



手から伝わってくる体温とカイトの優しい微笑みで目を合わせられなくなる。


…かっこよすぎでしょ。




「ここだよ」


手を繋いでからそんなに経たない内に目的地についてしまった。
名残惜しいけど、繋いだ手を離し中へ入る。


「いらっしゃいませ」


店内を見渡すと先に目についたのはオシャレだとかキレイだとか、そんなコトじゃない。
…カップルの姿が多いコトが目についた。


「レン、何にする?」

「えっ…なんか、知らない料理名ばっかなんだけど…」


メニュー表を見ても愛の〜とか、どきどき〜とか恥ずかしいメニュー名ばかりだ。

「それじゃ、俺のオススメにするね」

「う…うん」


カイトが料理を選んでくれた。
『甘い蜜の雫』とかいうやつ…。

「お待たせいたしました」


運ばれてきたのはハチミツのような色のジュースだった。
グラスにはストロー2本が1本になったものが入っている。


「あはは、わからないのも無理ないか、ここカップルが来るとこだし」

「えっ…そうだったの?」

通りでカップルしかいないわけだ。


「レン、一緒に飲もうか」

「…へ?あっ、うん」


カイトに促されストローをくわえる。

カイトの顔が近い…出来るだけ視線を合わせないようにする。
でも…なんか近くで見るカイトの顔は綺麗で思わず魅入ってしまっていた。



「これね」

「…えっ!?」


「レンの顔が近くで見られるかなって思って頼んでみたんだ」


急に話しかけられたのと、カイトの言葉で顔が熱くなる。
いつもいきなりだから、身が持たなくなりそうだ。


「レン、可愛いね」

「…ばか!」



こんな会話をしている内に外はすっかり暗くなっていた。


「そろそろ帰らないと」

「待って」


立ち上がろうとするが、カイトの静止により座ったまま言葉を待つ。


「暗いし、送ってくよ。それに…まだレンと居たいし」

「え…」


暗い夜道、カイトと2人っきりで帰ることになった。


END



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