★隣の席の


"喫茶店に行こう?"



カイトからのデートの誘い。
心の準備もできないまま放課後になってしまった。

授業中おさまらなかった顔の熱さはようやく引いてきたけど…。
これからのことを考えると、鼓動の早さは抑えられなかった。



「レン」

「…ひゃっ!?」


ビクッと肩を震わせ振り返る。

ボソッと可愛いとかいう声が聞こえてきたけど、聞こえなかったふりしよう。


考え事をしてる時に話し掛けられればびっくりするのも当然だ。



「…って、ミクオ?」



てっきりカイトかと思えば振り向いた先にはミクオがいて、妖しい笑みを浮かべている。

怪訝そうな顔で見つめる。
何の用だろうか。



「レン、これからデート?」

「はあ……!?」



いきなりデートなんて単語を言い出すミクオに驚きを隠せず声を上げる。


「隣の席だし、全部バレバレだったんだけど」



しまった…見られてたんだ。
なんて言い訳しよう…ああ、思いつかないよ!



「まあ、彼氏と仲良くね?なーんて」


ミクオはそう言いながら去っていく。


え……彼氏…?


まさか……ええ!?
相手…バレてる?


ただ去っていく背中を見つめていた。


END



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