☆来てくれただけで






「………っ」

「カイト、しっかり」


「…ありがとう、助かるよレン」


「ううん、無理しながら助けてくれたんだもん。今度は俺が助けになりたいの」



そう伝えると痛みに耐えながらも微笑みかけてくれた。
屋上から教室は一番上の階と一番下の階で、移動するのはただでさえ困難なのにカイトを支えながらではさらにきつい。

でも、今はなるべく少しでも力になりたいと思う。


だって…


「レン、助けに行くの遅くなってごめんね」


「ううん、それでも助けにきてくれたから…嬉しかったよ」


怪我しているのに助けに来れるわけないと思っていた。
でも、来てくれて本当に嬉しくて、どうしようもなくそばに居たいと思った。


階段の近くまで歩いてくれば下の階のほうから誰かがかけ上がってきているのか、足音が響いている。


……もしかして。



「レンーーー!!!」

「…やっぱりミクオ」


「やっぱりって俺のコト考えてくれて…げふっ!?」

「カイトの怪我に響くから黙って。」


つれないなぁ、なんて言ってるミクオは元気過ぎてなんか疲れる…。

でも、大したことないみたいで良かった。


「あ、ミクオ。元気なら手伝ってよ」


「俺も怪我人なんだけど…まあ、カイトが庇ってくれたから…治ったんだけどさ」


冷たく頼めば意外にも手伝ってくれるミクオ。
優しいところあるじゃん、ちょっと見直した。



「ところで…二人共よく俺が屋上にいるってわかったね?」


「がくぽから聞いたんだ」


「俺も。あいつ、レンのこと知ってたんだなって驚いたよ」



「…がくぽ?」


聞いたことのない名前に俺はただ首を傾げるしか出来なかった。



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