01
「なあオッサン。目の前で子供が転んでたらさ、フツー助けるだろ」
「君は自分で立ち上がれるだろ?」
「嫌な大人だな」
「君も可愛くない子供だよ」
「俺がオッサンの前で可愛い子供でいる必要はないだろ?」
「そりゃそーだ。君は面白いな、猫かぶり少年」
「どーも、無職のオッサン」
「なっ」
「だって昼間っから公園にいるオッサンは無職だろ?」
「ははは、口の正直な子だね。だけどお兄さんは中々の高給取りだぞ」
「自分でお兄さんとか言ってて恥ずかしくないの?」
「痛いことを言うね、これでもまだ26なんだけどな〜」
「俺は昨日で7歳。十分オッサンじゃん」
「た、たしかに…君からすればオッサンか」
「まあね」
「で、君は昼間の公園でなにしてるの?学校は?」
「今日は休みー」
「勝手にかい?」
「オッサンには関係ないだろ」
「そうかもしれないね。だけどそんなことしたら親御さんが心配するだろうに」
「気づいてねーよ。どーせ今日も帰ってこねぇだろうし」
「で、オッサンは何がしたいわけ?もう夕方なんだけど?」
「いやー、久しぶりに公園で遊ぶのもいいもんだね」
「変なの。言っとくけど誘拐なら辞めた方がいいよ。ウチ貧乏だし」
「ぶっ、お兄さんがそんな風に見える?」
「わりと」
「そ、そうか」
「何本気で傷付いてんの?」
「ねー、君はまだ帰らないのー。暗くなっちゃったよ?」
「オッサンが帰ればいいだろ」
「冷たいなー」
「はぁ……あのね、俺はもう帰れないの」
「どーして?」
「昨日…机の上にあった晩御飯、全部床に叩き付けて寝たんだ」
「まぁ随分とやんちゃしたな」
「汚ねーし、母さんが帰ってたら面倒だ」
「そうか。じゃあ、お兄さん帰るわ」
「はぁ?!意味わかんねー。そこはもっと何か言うべきだろ」
「何かって?」
「そりゃあ…大人らしいことだよ」
「大人らしいこと?」
「っだから!家に帰るように諭すとか、俺のしたことを怒るとかだよ!」
「まあまあ落ち着いて。…だって君、そんなこと言われなくても分かってるでしょ?」
「オッサンは一体なんだよ。散々人のこと構っといて、最後は家出中の子供をほって帰るとか」
「お腹が空いたから家に帰るただのお兄さんだよ。じゃあね」
「それでも大人かよ」
「だって、君は帰れるでしょ?君は聡明な子だ。君の置かれてる状況は君が一番良く知ってるはずだ。」
「………」
「じゃあね」
「………(まじで帰りやがった)」
これがオッサンと俺の初コンタクトだ。
第一印象最悪。
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