探検四日目 まったく。 今日は大変そうだ。 まだ入ったばかりの僕達におたずねものの依頼を任すなんて。 だが、興味深い話は聞けたので良しとしよう。 「時が止まってしまうなんて物騒な事件でゲスね〜」 「そうですね、アスター先輩!」 茶色の少し小柄な者――アスターが言うように、一部の地域の時が止まってしまうという話だ。 すごく面白そうじゃないか。 ――これは、調べてみる必要があるな。 そんなことを考えていると、足元に、ころころとりんごが転がってくる。 ひょい、と拾い、レインよりも小さい男の子に、「落とさないように気をつけろ」と、声をかけてやったが、意味が無かったようだ。 またりんごを落としてしまって、ころころ……と、見知らぬ男の足元に転がっていく。 男はそのりんごを優しく手に取り、「ハイ、落とし物ですよ」と小さい男の子の方に駆けて行った。 男とぶつかった瞬間、いきなり目眩が襲ってきた。体の体型も崩れる。 何だ、この映像は。 男と小さい男の子がいる。 「――ぅとおり……」 「言うとおりにしないと、痛い目に遭わせるぞっ!」 怒鳴る男の隣で泣き喚く小さな男の子。 この二人は、りんごをとった男と、落とした男の子だ。 ふっ、と光景が戻ると、レインとアスターがニコニコと微笑んでいた。 「みんな良い人たちだったね! 見ててこっちもうれしい気分になっちゃった……どうしたの? リヒト」 急がなくては。 目眩がした時にいた場所は、たしか"トゲトゲ山"だ。 「急ごう、トゲトゲ山に行かないと」 アスターにはここに居てもらうことにして、僕たちはトゲトゲ山に向かった。 |