探検一日目


僕はずっと、一人だった。

初めてこの世界にきて、自分がポケモンになったことが分かる。
一人で洞窟に住んで、食料も自分で調達した。
広場に行こうと思ったときもあった。でも、怖くてやめた。
時々幸せそうなポケモンを見て、睨んだ。相手は全く気付かなかった。


3年間、ずっと。

もう、この生活にはこりごりだ。
もう、死んでしまおうか。
もう、息をするのをやめてしまおうか。

「……君、誰……? 見かけない顔だけど」

幻聴が聞こえる。
幸せになりたい、という気持ちが爆発しすぎたようだ。

自分の手で、自分を殺そう。

「ちょっと、聞いてる? ねぇ!」

体が揺れる。
ふと、声がする方に顔を向けると、そこには橙色のメッシュの入った、青い男の子がいた。

「あ、やっとこっち向いた!」

キッ、と睨む。
でも、それは効果が無いようで。
青色は笑顔で聞いてきた。
「僕はレイン。君の名前は何?」と。

ボソボソと答える。
そんな小さな声でも、青色――レインには聞こえたようで。

「リヒトって言うんだ……。いい名前だね!」

そんなことを言って、僕の心を惹きつけた。



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