南雲と涼野
「ふーうーすーけー。」
下から私を呼ぶ声がする。声の主は晴矢。インターホンがあるから大きな声で叫ばなくてもいいのに。乗っている自転車から降りるのが面倒だと言っていたな。そんなことを思いながら、私は玄関へ向かった。
二人乗りの意味
「おはよう。」
「はよー。」
玄関から出れば、自転車に乗った晴矢が目の前にいる。挨拶と同時に、私の鞄を晴矢の自転車の前カゴに投げ入れる。少し嫌な顔をしたけど気にしない。
「またお前後ろに乗るのか。」
ああ、と返事をしながら後ろにまたがる。いきなり乗ったものだから少しバランスを崩した。しかし、なんとか持ち直して晴矢はグッとペダルを一つ強く踏み込んだ。
「風介、お前チャリは?」
自転車をこぎながら聞かれる。私は晴矢のシャツを引っ張りながらパンクした、と一言。晴矢はふぅん、と周りの風の音で消えてしまいそうな声でそう言った。
自転車をこぐ晴矢はかっこいい。後ろから見とれる私は末期なのだろう。ぎゅっと抱きつけば、ふわりと晴矢の香りに包まれる。
「ちょ、風介。こぎにくい。」
「大丈夫だ。問題ない。」
「お前はな!」
そんなやりとりに顔が綻ぶ。本当に私は君が好きだな、そして君も。少しだけ自惚れてみる。
自転車に乗らない理由。実はずいぶん前から自転車は直っているけれど、私はその自転車に乗る気はないよ。
だって、朝から君の一番近くにいたいから。
もうとっくの昔に嘘はばれているだろうけどね。
「明日も、パンクするから。」
「未来予知かよ。」
そう言った時、晴矢が嬉しそうに少し笑った事を私は知らない。
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こんにちは花子様、望月です(^^
この度は企画参加ありがとうございました!
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こんにちは愚茶様、望月です(^^
この度は企画参加ありがとうございました!
甘め…ということでしたが。甘くなりましたかね?突発的に思い付いたネタでしたので…(笑)
最後になりましたが、本当にフリリク参加ありがとうございました!これからもよろしくお願いいたします!(^o^
望月拝