風丸とヒロト


ふいにヒロトが窓の外の星空を眺めながらこう言った。
「風丸くん。シンデレラを知っているかい?」
唐突な質問ですぐには答えられなかったが、コクリと頷いた。
「あの子はズルいよね。わざと靴を落として、王子様を物にしたんだ。」
たそがれるようにまた外に目を向ける。たまにヒロトはセンチメンタルになることがあって、またいつものそれだろう。適当に相づちでもうっておこう、そう思いながら一言。
「と、いうのは?」
そう聞き返せば、よくぞ 聞いてくれましたと言わんばかりの微笑みで、窓にもたれ掛かりながら俺に話し始めた。

「自分勝手なんだよ、シンデレラは。」


「12時になればドレスは消える、けどガラスの靴は消えないんだ。」
確かに、と少し考えさせられた。ふむ、と頷けば少し寂しそうな笑顔を浮かべ、じゃあ。と言葉を続けた。
「俺がガラスの靴だったら。
風丸くんは拾ってくれる?」

ドレスと一緒に消えるはずだったガラスの靴。
ヒロトは基山ヒロトであって吉良ヒロトでない。本当のヒロトは消えてしまったドレスのようなもの。
じゃあ、その靴が意図的にシンデレラが落としたものだとしたら。

少し考えて、今にも泣き出しそうなヒロトの目をを見て言った。


「俺は…。もちろん、○○○。」


一瞬、きょとんとした表情を浮かべた。しかしヒロトはすぐに、クスリと笑みを浮かべ風丸君らしい。と呟き、また空に視線を落とした。



シンデレラに憧れて




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しょう様リクエストありがとうございました!
○○の部分は、ご想像にお任せします(笑)

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