南雲と涼野


真っ暗な部屋の中に1人、ガゼル…私は囚われていた。
ジャラジャラと金属が床に擦れる音が響く。動くに動けないその四肢は頑丈な鎖に繋がれていて自由は奪われた。鼻孔には少し錆びた鉄の匂いと、かび臭い淀んだ空気が入り交じっている。
ハァ、と大きく息を吐けばヒュッと喉が掠れる音がした。私も大分疲れたみたいだな、かれこれ半日程このままだろうか。

ジェネシス計画に落とされたダイアモンドダストは、一気にマスターランクから外された。グランとはもちろん、バーンとも同等では無くなり行き場の無くなった私は、まさにマスターランクの言いなりとなっていた。
そんなある日、バーンが薄気味悪い笑みを浮かべながら私に話かけた。

そこから私の記憶は途切れ、気づいた時には腹部への痛みだけが残っていた。

ペタリとその場に座り込む。この鎖はどこに続いているのだろうか。暗闇の中では確認することも不可能だ。もう何をすることも出来ない。多分これはバーンの仕業で気が済めば戻してくれるだろう。瞼を閉じれば、カツンカツンと外から音がした。そしてギィ、と重い扉が開かれる音と同時に眩しい光が隙間から射し込んだ。外の光は暗闇に慣れた目には強すぎる。眩しくて閉じた瞼を少し開ければ、バーンらしき人物が目の前に立っていた。

「どうだ、監禁されてる気分は。」
「最低だ。愚か者め、こんな事をして何がたのし」
最後の言葉は、痛さと驚きで途切れた。勢いよく両手の鎖を引っ張られたのだ。両手の手首がこすれて痛い。苦痛に顔を歪めていると、楽しそうにバーンが笑いグッと顔を近づけた。ぺろりと舌舐りをした気色の悪い笑顔に吐き気がした。するといきなり唇を噛みつかれ、私の口が開いたと同時に、待ってましたと言わんばかりにバーンの舌が口内を掻き回した。今度こそ気持ち悪くて吐きそうだ。うっ、と喉から声が出た時にガリッと舌を噛まれた。口の中が鉄っぽい。こいつ、本気で噛んだな…。痛みで涙を滲ませながら睨み返せば、さっきより楽しそうな笑みで笑った。
「そそるぜ、その顔。」
「…はぁ?」
先ほどの痛すぎる口付けとは正反対の、優しすぎるキスが頬に触れられる。

「なぁ。ガゼル。これから俺の人形になれよ。」
「…。」
「吐き気がするくらい、愛してやるからさ。」
トロンとしたバーンの目は何かに酔っているような。瞳に映るのは私だけなのだけど。

「さっさと目を冷ませ変態。」

ドスッ。
鈍い音と同時に鋭い痛みが腹部に響き、目の前が暗転した。
ああ早く元に戻ってくれないものか。


愛し方を間違えた



(管理人が18歳未満なのでR18のリクエストは受け付けられませんでした。ご了承ください・・・)
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