黄緑と南涼



授業が終わってご飯を食べようとした時。ヒロトが屋上でご飯を食べたいと言い出した。たまにはいいかもと思って俺はいいよと頷く。ヒロトはやった、と小さく笑いどうせ屋上で食べるなら涼野と南雲も、と言って二人も誘い男四人楽しく(とは言えないかもしれないけれど)屋上にやってきた。


「何が楽しくてこのメンバーなんだよ。」
「人数多い方が楽しいでしょ?」
「お腹減ったから私はもう食べる。」
「涼野のお弁当可愛いー!」

広い屋上には俺たち以外誰も居なくて、貸し切り状態。少し吹く風が心地よくて、なんか青春っぽいななんて思ったりした。
こうしてみれば、やっぱ俺たち中学生だなーとつくづく感じる。いつも大人っぽいヒロトも南雲と無邪気に笑いあっているし。と、少し見とれていたらヒロトが俺の視線に気づいて、ニコリと優しく微笑んだ。その笑顔に、みるみるうちに顔が赤くなってくるのが分かる。思わず下を向けば、涼野が後ろからひょこりと顔を覗かせる。
「緑川、顔が赤いな。」
「ちょ、言うな!!」
「なになに〜?愛しのヒロト君見すぎたってか?」
「ちがっ!!」
南雲までニヤニヤしながらおちょくってくる。熱くなる顔は元に戻りそうにない。もう一度ヒロトの方を見てみれば、楽しそうに笑っている。
「ちょ、ヒロト〜!」
「緑川可愛い。」
「そうじゃなくて!」
ヒロトはクスクスと笑いながら俺の方に近づいてくる。そうしたら、目の前で両手を広げらる。どうすればいいか分からず固まっていたら、後ろでじゃれていた二人が何か思い付いたかのように、ドンッと俺をヒロトの方へ押した。
ぐしゃ、と効果音がつきそうなくらい勢いよくヒロトの方に倒れこんだ。まだ何が起こったか理解出来ていない頭で前を向いてみれば、優しい笑みを浮かべたヒロトが目の前いた。
「…っあ…!!」
体制的に俺がヒロトを押し倒したような格好で、顔と顔が近い。ヒロトが小さく大胆、と口を動かしたものだから、俺はあまりにも恥ずかしくて動けなくなってしまった。
「まったく…可愛いんだから。」
「…へ。」
クスッとヒロトが笑った瞬間、チュッというリップ音をつけて優しく唇にキスをされた。







「なぁ、アレいいのか?」
「良いんじゃないか?別に私たちだけなんだし…っと、晴矢お茶取って。」
見せつけられて嫌なのは俺だけ?いつもどおり、何も無いかのようにお弁当を食べ進める風介を横目で見ながら少し思う。
隣からは昼間とは似つかわない厭らしい水音が耳につく。あいつら場所を考えろ…。
そっちに気をとられていたら、グイッと風介が俺のシャツを引っ張る。
「お茶。」
「…へーへー。」
相変わらず無表情だな、とか思いつつ、俺の横にあったペットボトルのお茶を取る。普通に渡せばいいのだけど、ふと思い付いたことをやってみる。
「ん。ありが…んん!!?」
お茶を口に含み、そのまま風介の口に移す。いきなりのことで驚く風介はうまく飲み込めず、口の端からお茶を垂らしながらなんとか晴矢からの口移しを受け取った。涙と羞恥で真っ赤になった顔で睨んでくる。そのうえ肩で息をしてるのが…、えろい。
「何をする…っ。」
「お茶あげた。」
「バカか!!」
涙ぐみながら訴える風介に、ぎゅーっと抱きつく。まじ可愛い。最初はビックリしたようで抵抗していたけど、俺はひたすら抱き締め続ける。そうしたらだんだん静かになって、小さくため息をついてまた一言、バカと呟いた。







昼休み終了のチャイムが響く。ひたすら四人でふざけあっていたから本鈴の前の予鈴が気づかなかった。やば、と緑川が焦って広げていたお弁当やらを片付けようとした。けれどその行為をヒロトがニコリと笑いながら止める。
「みんなでサボっちゃおうよ。」
緑川は驚いた表情を浮かべたが、他の二人はコクリと頷き、広い固いアスファルトの上に寝転んだ。
「こういうのも、いいよな。」
誰かに問う、というわけでもなくポツリと風介が言えば、晴矢が静かに笑った。
「ね、だから緑川も。」
そう言えば、少々戸惑いもあったがニコリと笑みを浮かべ、ヒロトに軽くもたれ掛かった。



ある日の屋上にて







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はじめまして瑠稀様、望月と申します(^^
この度はフリリクありがとうございました!

(基緑+南涼で甘ギャグ学パロ)ということで、頑張ってみたのですが…。いかがでしょうか?
どうこの四人を動かせばいいか分からなかったので、緑川視点と晴矢視点という形になってしまいました。f(^^;
お気に召しませんでしたら書き直しますので!!


本当にフリリク参加ありがとうございました。よろしければ、これからも当サイトをよろしくお願いいたします!(^o^
望月拝

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