南雲と涼野


いつもキッチリと制服を着ていた風介が。今日は違った。

「お…まえ、なんつー格好してんだよ!!?」
「…は?」


昨日までの風介は、シャツのボタンはきちんと一番上まで止めてカーディガンもぴちりとして、上着はシワなんてないくらい、どこのがり勉だよってくらい真面目に制服を着ていたのに。なのに。いま、俺の目の前にいる風介はなんだ。


「お…ま…。」
「?」
「ボタン3つも開けてんじゃねーか!!」




「晴矢が開けろと言ったんだろうが…」
ため息まじりに風介はそう言いながら、ボタンを一つ留めた。
そうだ。俺が昨日風介に「制服の着こなしがおかしいから直せ」と言った。だけど。だけど、
「シャツのボタン3つ開けって…!!」
そんな興奮するなと風介に一発蹴りを入れられた。
俺はその痛みで少し正気にもどったけど、未だにびっくりしている。

今は2つしか開けていないから、肌の露出が少ないけれどさっきのは駄目だ。
白い肌から少し浮き出る鎖骨は色っぽく、どこのホストかと思った。

「駄目だ!やっぱお前はシャツ全部しめとけ!!」
「面倒なやつだな。理由は?」
理由…。は、そりゃそんなの決まってる。
ただ一つだけ。
「お前に変な虫が付きそうだからだよバーカ!!」
やばい。おれ今顔真っ赤だ。とりあえずそう言い放ってからその場から逃げた。




「バカはどっちだ」
プチプチとシャツのボタンをしめる。私はわざと3つボタンを開けたんだ。たぶん君が面白い反応をすると思ったから。そしたらビンゴ。朝クラスに来た瞬間、すごい早さでこちらにやってきた。
「顔赤かったな…」
さっき言われた言葉をまんま君に返したい。晴矢こそそんな可愛いと変な虫が付くぞ、と。
思い出すとなんだか笑みがこぼれてきた。今さら頬が熱くなるなんて、私もまだまだだな。

ああ。なんだかいいな。こういうの。

小さなため息がおちたけれど、わたしは不思議と幸せで包まれていた。




りょうおもい

((やっぱ可愛いな))





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