狩屋と先輩


pipipipipipi。無機質な音が部屋に響く。
眠い目をこすりながら、枕元で鳴り響く携帯電話を手探りで探す。毛布のすき間から見えるのは、まだ暗い部屋。冷たい空気がそっと頬を撫で、ぶるりと背筋が震えた。
こんな朝早くに誰。全くはた迷惑な奴だ。
そう思いながら重いまぶたを開く。眩しすぎる液晶画面。思わず閉じて、再び開く。画面を確認すればアイコンが一つ。メール一件、送信者は―。

がたがたどしん。

あまりの驚きにベッドからずり落ちる。落ちたのは自分だけで、どうやら携帯は無事らしい。痛みに顔を歪めながら、もう一度携帯画面を開く。むくむくと溢れる気持ちは抑えられずに自然と頬が緩む。いや緩ませてたまるものか。こんな朝っぱらからメールを送るような、マナーのなっていない先輩からのメールなんだ。
そう思いながらも、どこか心の隅で「なんて返信しようかな」なんて思っているわけだから…。

その場からゆっくり立ち上がり、カーテンを開く。シャッという音とともに、少しづつ明るくなりはじめた朝日が間からこぼれる。オレンジ色の光が冷たい部屋を照らして、いつもは寒いこの部屋がなぜだか今日は温かく感じる。

Good morning?

≪新規作成≫
『朝から最悪な目覚めですけど、先輩はどうです?』

ほんと、最悪で最高の目覚めだよ。俺は小さくつぶやき、大きなのびを一つした。

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