西野空と隼総


「なに隼総。これ買いたいんだ?」
横で西野空がニヤニヤ笑う。驚いてうわ、といつもより少し高い声が出た。部活が終わりこっそり部室から出て、なるべく人目のつかないコンビニを探したのに、なんでコイツがいるんだ。そしてなんでこう、見られたくない時に居るんだよ。
横で西野空が甘いもの好きなんだねぇ意外〜などと呟いているけれど、そんなのどうでもいい。
「なんでお前居んの?」
冷静に、焦りを表情に出さないようそう聞いた。すると隼総がこそこそ部室を出ていったからつけてきた、とムカつく笑顔で答えた。

「で、隼総はなに買うの?プリン?モンブラン?エクレア?」
ほらほらクレープもあるよ、なんて女子みたいに言うから恥ずかしくなって適当な返事しか出来ない。
すると西野空は、ぱっと素早くシュークリームとロールケーキを手に取りレジに進んだ。
その行動にぽかんとしていると、会計を済ませた西野空が隼総と俺の名前を呼んで外に出た。

「はい。」
手渡されたのはロールケーキだった。え、と西野空を見あげれば、それあげると言われた。
「あれ?ロールケーキ欲しかったんでしょ?」
「あ、あぁ。まぁ。」
「だよねー。だって隼総ずっとロールケーキ見てたもんね。」
そうだったのか、恥ずかし…。そのままロールケーキを手に持ったまま固まっていれば、西野空が俺はシュークリーム派だから、と袋をベリッと開け、ぱくぱくっと素早く口に頬張った。
ペロリと指に付いたクリームを舐めとれば、ニヤッと「甘党男子は良いと思うよ」と笑った。

甘い誘惑、君は知ってる

ということは、次は俺が西野空に何かスイーツを奢らないといけない訳か。コンビニスイーツじゃ許してくれないだろうな、とお財布の中身を確認しながら優しいため息をついた。

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