剣城と拓人


なんだかんだで俺はこの雷門イレブンに入ることになった。それはそれは先輩方からからは素晴らしく非難されたけど。監督の指示ということもあって一応は認めてくれているみたいだ。

そして今。サッカー楝の一つの部屋で、俺とキャプテン─神童拓人と一緒に話し合いをしている。サッカー部に入るわけだから、入部手続きみたいな説明を。あまり真面目に聞いていなかったけれど。
「…というのがここのルールだ。分かったか?」
机一つ挟んだ目の前のあいつが俺にそう尋ねた。全然聞いていなかったから、すぐに反応できず、「あ」とか「う」とか無意味な単語が最初に出た。そして少し混乱する頭をフル回転させ、こいつの手元にあったプリントを見て内容を大方理解し分かりましたと言った。


沈黙。
変だな、と思いプリントから目の前のあいつに視線を向けた。ら、ぽかんとした間抜けな顔をしていた。

「…。」
「…。」


何秒かの沈黙の後。先にそれを打ち壊したのはあいつだった。
「お前…敬語使えるんだな。」
「はぁ!?」
こいつ、どんだけ俺をバカにしていたんだ!まじまじと言われてなんだか悔しい。机に足を乗せ、腕を組んでそっぽを向く。そんな中、あいつはクスクス笑いやがって…。なんだまじこいつ意味分かんねぇ。
「一応…キャプテンで先輩だろ。こういう時くらいは敬語使わねーとダメだろ。」
ポツリと言えば、またフフッと笑いいつもの厳しい声色とは違う優しい声で、良いことだ、とあいつは言った。


素の君

コイツ苦手かもしれねぇ。

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