円堂とヒロト


なあ、俺のこと好きか?
そう円堂くんが問いかけた。
もちろん、大好き。だって俺に本当のサッカーを教えてくれた人だし。円堂くんが居なかったら俺、こんなに楽しくサッカー出来なかったよ。
そっか、嬉しいな。で、どのくらい好き?
少し伏せ目がちにそう微笑んで、また聞いた。
そうだな、このくらいすき!俺は両手を大きく広げてみせた。
だけど円堂くんはあまり嬉しそうには笑わないで、形に見えないから分からないな、と呟いた。
じゃあこのサッカーボールが海を覆うくらい好き!
俺は足元にあったサッカーボールを指差しながらそう言った。
だけど円堂くんはまた難しそうな顔をして、静かに首を横に振った。
どうしてだろう、どうしてだろう?俺はとってもとっても円堂くんが好きなのに、なんで伝わらないんだろう?
俺も首を傾げると、円堂くんは何か閃いたようにポンッと手を合わせて、何かを持ってきた。
はい、と差し出された物を俺は手に取り、少し考えてから腕に滑らせた。
滴るのは赤い液体。俺の中に駆け巡っている血液。じわりじわりと痛む左腕。また円堂くんの表情を覗くと、とても輝かしい瞳で俺の腕を眺めていた。
そっか、これで、
「これくらい、君が好き!」

自傷

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