風丸とヒロト


ヒロトが分厚い本を持ってきたかと思えば、一緒に見ようと誘われた。

何かと思い中を見れば、誕生日占いのようなものだった。風丸君は何月何日生まれ?と聞かれ俺の誕生日を答える。
ふむふむと呟きながら、本のページをめくる。俺は横で本をめくるヒロトの横顔を眺めながら待つ。相変わらず髪サラサラだな、とか思っていたら、あったと嬉しそうに言った。そして俺に聞かせるように読み始めた。

「この日に生まれた人は…、責任感が強いんだって。」
「あってる…かも。」
「だから頑張りすぎちゃうのがたまにキズ。…どう?」
「そうかもしれないな〜。」
俺は基本占いとか信じないんだけど、ヒロトがあまりにも楽しそうに話すものだから、つい俺まで占いって当たってるかもと思ってしまった。

その時。今まで楽しそうにそのページを見ていたのに、ヒロトが小さく不満の声を呟いた。
横に居るヒロトを見れば、さっきまでの輝かしい目とは真逆のマイナスオーラプンプンだった。
どうしたんだ、と聞けば本の隅を指差した。

そこには相性占いと書かれたタイトルの下に、それぞれ日付が書いてあった。
「恋人や友人の欄に、俺の誕生日が…なかった。」
そんなことで?と、思ったけど多分ヒロトにとってはそんなことじゃ済まないんだろう。なんと言えばいいか考えていたら、またしても不服そうな声をあげた。
「ひどい…。円堂くんの誕生日はあるのに〜。」
ぷくーと頬を膨らませる仕草はとても可愛らしいのに、目は笑っていない。
まぁまぁと慰めながら俺もその本を眺める。やはり恋人・友人の欄にはヒロトの誕生日は載っていない。ふむ、と思いつつすぐその下を見る。

あ。
「あるじゃないか。」
と指を指す先には、ヒロトの誕生日と、
「運命の…人?」
「ん。」
恋人・友人の欄にはなかったけれど、運命の人の欄には確かにヒロトの誕生日が書かれていた。
ヒロトは目をぱちくりさせて、その意味を理解したのか一気に顔を赤らめて、嬉しそうに頬を緩ませ花が綻ぶように笑った。


占い


案外占いもバカにならないかもしれない。

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